原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

今年見た映画(抄)

 今年はそれなりに映画を見たはずなんですが、全然日記書いてない。来年こそ書く、と毎年言ってます。唯一書いていたのは以下。なんかもう今年って感じはしないけど……。

rouble.hatenablog.com

 いくつか感想を振り返っておこうと思います。当然ですが、色々ネタバレを含みます。

『サイダーのように言葉が湧き上がる』

[rakuten:book:20372635:detail]
 今年のベストをあげよ、と言われたらたぶんこれ。粒ぞろいだった印象のある今年の作品群ですが、その中でも群を抜いてよかったと思う。

 要素の多い作品で、俳句アニメでもあり、ショッピングモールアニメでもあり、レコードアニメでもあり、デイケアアニメでもあり、矯正アニメでもあり、恋愛アニメでもあり、配信アニメでもあり、マスクアニメでもある。それを、「ショッピングモール」という舞台のみ(その他の描写もあるけど、作中の中心はショッピングモールとその付近の風景)で描いているところが出色の出来。背景のタッチがすごくいいんですよ。
 

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 物語の筋自体に大きな驚きがあるわけではなく、むしろ、想像の範疇を大きく出るものではないんだけど(レコードは全然わからなかったが)、なんだろうなあ、よさが言葉にしにくいのだが、「ショッピングモール」という場所を本当にポジティブに描ききっているというか、主人公の男の子が事情があってデイケアでアルバイトしてるんですが、そのデイケアがショッピングモールの中にあるんですよね。

 そもそもデイケアを舞台にするところが、オリジナルアニメとしては冒険なんだけど、「ショッピングモールの中にあるんだ!」という驚きというか感動があって、そうだよね、ショッピングモールの中にあるといいよね、とすごく思った。ショッピングモール吟行、というモールの中をうろうろしながら句作するシーンもすごくいい。

 タイミングが悪くて、あまりお客さんは入らなかったんだろうなあ、と思うけど、配信なども始まっているのでぜひ見てほしい作品です。

『映画大好きポンポさん』

[rakuten:book:20474937:detail]
 これもとてもよかったポンポさん。公開を楽しみにしていました。

 原作からの追加要素については色々意見がありそうですが、私は後半の「編集シーン」を分厚く描いたのはとてもよかったと思う。特に、前半あれだけ印象的に「奇蹟のシーン」として描いた、あの雨の中のシーンをばっさりとカットするところは、前半部に描いて見せた喜びを、しかし映画のために切り捨てる、というカタルシスがあって、(寂しさも感じつつ)震えた。みんなでアイデアを出し合って、現場全体が一体となって、喜びとともに撮影したシーンは、しかし映画には不要だった。そんなひどいことが、と思うけど、それが映画を作るということなんだ、という覚悟のシーン。

 映画館で見た、ナタリーが水たまりでステップを踏むシーンは、ジーン君と同じく、目を見張ってしまいました。円盤を買って家でみたときには、あのオーラは残念ながら感じられなかったので、あれは映画館の大画面が見せた風景だったんだな、と思っています。

子供はわかってあげない

[rakuten:book:20540425:detail]
 原作はかなり前に読んでたんですが、記憶からは消えてた。映画を見てからぱらぱら目を通したんですが、だいぶ変更してたみたいですね。

 意地悪く言うと、中年のおじさんの夢の物語、というところがあるかな、と思うんだけど、でもあの家での、遠回りしながらぽつぽつ話していく親子の様子はわりと好きでした。「明日帰っちゃうのかな」「いつまでいていいのかな」という二人の物言わぬ声が聞こえるようで。

 最初、アニメから映画がはじまって、もしかして入るシアターの番号を間違えたかと思った。

閃光のハサウェイ

[rakuten:book:20466838:detail]
 あの特別映画料金許さねえ、という気持ちはありつつ、やはり新機軸のガンダム映画を撮ってくれた、というのがとても嬉しかった一作。三部作なので続きが楽しみです。問題はこのあと陰惨なシーンしかないが? ということなんですが……。

 原作の『閃光のハサウェイ』は、中学生くらいのときに読んだんですが、「地球環境保護」側が主人公という珍しい作品で、その点で印象に残っていました。何度か読み返してますが、今回も映画のあとに読み直してます。興が乗って『Vガンダム』まで読み進めてしまった。

 もう語られ尽くしていて感想を足すこともないのだけど、やっぱり市街戦でのMS怖すぎるに尽きます。あんなの飛び散った粒子が当たるだけで死んじゃうよ。

『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』

[rakuten:book:20451359:detail]
 マクロスΔの完全新作にして完結編。マクロスΔはテレビシリーズ時からそれなりに好きだったんですが、ライブディスクがすごくすごくすごくよくて、大好きになりました。今作の敵は、これまでとはまた異なる敵で、序盤に「これまでのラスボス」級が迎え撃とうとするシーンが熱い。『マクロス7』以来、マックス艦長とエキセドル参謀がでてきたのもいいファンサービス。

 物語の途中から、これは……まさか……もしかして……という予感が募り、しかしなんとかなるんではないか、という儚い希望も叶わないわけですが、いずれくるそのシーンを劇中で描いてくれたのはよかったのかな。でも、これからライブどんな気持ちで見ればいいんですか? マクロスでは意図的に多用されないようになっていると思われる「合唱」がキーになったのもうれしい。

その他

 『プリンセス・プリンシパル Crown Handler』の第1章と2章も今年。物語はまだ途中ですが、1章もよかったし、2章のあれもよかった(何も言えない)。『アイの歌声を聴かせて』は、個人的にはそこまで響かなかった。ロボットと共存する未来の風景は楽しかったです。『フラ・フラダンス』はよくできていると思いましたが、よくできすぎていて、話の流れに驚くところがまったくなく、もうちょい王道を外すところがあってもよかったんじゃないかと思う。

 『Fate』関係もいろいろありましたが(プリズマ☆イリヤのみ未見)、やっぱり、私は奈須きのこ文体込みで好きなんだな、としみじみ思いました。地の文がほしい。地の文が。