原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

架空日記

節目

節目、ということをそんなに意識しなくてもいいんじゃないか、と思いながら、私は窓を開けた。暑いのか涼しいのか。肌をさらすとひんやりもするし、けれど、服を重ねるとじとりと暑い。電気ストーブをつけながら汗をかいているような、そういう夜だ。 平成最…

自己解題「夜に落ちる」

昨日は、おもしろそうな企画があったので、参加してみました。え、私なんでこんな面白そうなのに気づいてなかったの? / “【第0回】短編小説の集いのお知らせと募集要項 - Novel Cluster 's on the Star!” http://t.co/nhYKUMd5NG— いずみ (@Rouble_R) 201…

夜に落ちる

1 野宮かなみは、りんごを食べるときの音が嫌いなのだと言った。そうなの、と、特に感動したでもなく、藤代は答える。ただそれだけの会話。5年前のことだ。 もうずいぶんと野宮かなみには会っていない、ということはなくて、藤代は今でも彼女と頻繁に会っ…

ふすまは鍵がかからない

ごはんを食べていると、あやちゃんが起きてきて、「雨が、」と言った。そう、雨。あやちゃんの寝ている部屋は和室だから、入り口はふすまで、閉めるときにたたんっと音がする。小気味の良いものだと思うけど、雨の日には頭に響いた。 「もう梅雨?」と、こた…

なんだかなにも考えていないような連休のこと

今年の連休は珍しく晴れしかなかった──というには、あと一日残っているけれど、ともかくこれだけ晴れが続くのは珍しい。ということをなっちんに言うと、「毎年こんなもんじゃないっけ?」と言われた。そうだったかもしれないと思いつつ、どこかで雨が降るの…