原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

『かがみの孤城』

年末に映画を見ました。原作未読です。これから読む予定。

起伏の激しいというタイプの作品ではありませんが、退屈することなく最後まで楽しみました。途中に配置された謎はわりとわかりやすいので、作中人物よりもかなり先に視聴者が気づいてしまって、ちょっともどかしく感じるかも。

以下ネタバレ含みます。


時間がずれている、ということは、それぞれの遊び方のずれでうっすら気づくことになるんですが、実際には服の違いとか、言葉遣いのずれとかでもっと早く気づきそうではありますよね。そのへん、原作がどんな風に説明していたのかは気になる。

1年間限定の共同の隠れ家、という点の面白さはあったけれど、もうちょっとその楽しさが出てもよかったかなとは思います。個々の登場人物同士の関係が、原作ではおそらくより深く描かれているのではないかと思うけど、映画の尺にしようとするとどうしても描写が薄くはなりますね。

特に、描写が主人公のこころさんに集中した結果、映画のクライマックスの引き金になるアキさんの心情描写がちょっとスキップされすぎたかな、という感じはありました。理屈として何が起こっているかはわかるので説明不足ではないんだけど、視聴者の感情が追いつけない、みたいな。

原作を読んだ上で見ると、また見方が大きく変わりそうだなという予感の残る映画。周りとの関係に悩んでいる人の背中を押す(あるいは支える)ような作品でした。