原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

2010-01-01から1年間の記事一覧

ほっけで学ぶ言語獲得

“ほっけ”という食べ物がある。と書くと、違和感を持たれる方も多いと思うのだけど、私にはそんなに違和感がなくて、つまり私は“ほっけ”という言葉の習得を間違っている。正確には、“間違った”ことが修正できずに現在に至る──というわけなのだけど、ようする…

山崎ナオコーラ『この世は二人組ではできあがらない』

この世は二人組ではできあがらない作者:山崎 ナオコーラ新潮社Amazon ついに帯に「無冠の帝王」とまで書かれるようになった山崎ナオコーラの新刊です。「素朴な社会派小説」と帯に書いてありますが、いい意味で「小説ってなんだっけ」と思わせるような小説で…

詩になる言葉

最近のtwitterでみかけた言葉、2点。 マクドナルド茗荷谷店: 女:「あのねー、超しょーじきにゆっけど、あたしさ、元カレと付き合ってんのね」男:「それどういうこと?」女「あんた相変わらずぼけてんね。あんたがさ、今は元カレになったのよ」私は静かに席…

Twitter考

「君は君だ。それ以外の、何者でもないじゃないか」 「それで人を説得したつもりになっているのかな?」 「そういう君は、そう言えばカッコイイとでも思っているのかい?」 以前はほとんど眺めているだけだったTwitterに、わりに最近ひんぱんに書き込む*1よ…

衿沢世衣子『ちづかマップ』

ちづかマップ作者:衿沢 世衣子講談社Amazon 実際の場所を“ちづか”がめぐる、地図マンガです。楽しかった。タイトルから受ける印象ほど“地図”に焦点を当てたものではありませんが、実際の土地をめぐっていく感覚がとてもおもしろかったです。……と、考えたとこ…

バーチャル空間としての書店

「知ってるかい? 昔、“本”は紙に印刷されて、お店で売っていたんだよ」 「そんな贅沢なことができていたんですか?」 昨年末から電子書籍の話をよくみかけるようになって、iPadとかもその流れで語られている部分もあるし、Kindleほしいなあと思ってみたりも…

「十代の時に横浜を歩いていた感覚が、今の横浜という土地にまだに保存されていて、今の身体が、それとぴったり重なってしまう」

「2010-01-22」より。 横浜を歩くと、ぼくはいつも過去に戻るような感じになる。昔を思い出すというよりも、今の、この空間を、「十代の身体として」歩いている、というような感覚。横浜に毎日通っていた浪人時代と「今」とが直結して、その間に挟まっている…

野崎まど『[映]アムリタ』

[映]アムリタ (メディアワークス文庫 の 1-1)作者:野崎 まどKADOKAWAAmazon いつの間にか「メディアワークス文庫」という文庫ができていて、その創刊を担う一冊のようでした。もう「アムリタ」というタイトルだけで半分陥落していたので、映画撮影の話 → お…

移動掲示板としての「TRAVATAR」

「ヒントは移動型掲示板に書いておいた。 ──探してみたまえ」 iPhoneのアプリに「TRAVATAR*1」というアプリがあります。昨年の11月ごろに一気にはやり、その後、あまり話題を聞かない(公開されて一ヶ月くらいは回線が重くてなかなか開けなかったことも原因に…

「企画書をいっぱい書くとか、コピーを何本も書くって、「走り込み」と似ているようで、まったくちがいます。」

ほぼ日刊イトイ新聞(2010/1/14)より、糸井重里の言葉。 この「走り込み」のマネをして、 昔は、「キャッチフレーズを100本書け」だとかね、 そういうことを教える「先生」がいっぱいいました。 100本も書いたって、ことばの順列組み合わせを、 手間ひまかけ…

芥川賞候補作5篇

今回はわりに時間に余裕があったので、芥川賞候補5作を読んでみました。なんとか間に合った。以下、それぞれの感想です。 大森兄弟「犬はいつも足元にいて」 犬はいつも足元にいて作者:大森兄弟河出書房新社Amazon 兄弟作家、ということが話題になっている…

「雑誌って、やっぱり「手紙」だよな」

twitterの中俣暁生の言葉より*1。 solar1964 定期購読している雑誌が家に届くのはうれしい。雑誌って、やっぱり「手紙」だよな。 去年はたくさんの雑誌が休刊になり、そしてそれは今年も続くのだろう。もはや「雑誌」という媒体の持つ求心力は低くなっている…