原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

また夏が来る

bookwalker.jp
 久しぶりに、『サマー/タイム/トラベラー』を読みながら、今年もまた夏が来る、と思った。夏というのが特別な季節というわけではないけれど、春や秋は記憶の中でどこか輪郭がぼやけており、冬は年をまたぐことで印象がリセットされてしまうのか、どうしても夏というのが記憶の定点のようになっている。

 『サマー/タイム/トラベラー』は高校生たちの物語だけど、もはや遙か過去となった高校の夏休みのことを、私はまだ思い出すことができる。体育祭のための大きな絵を描きながら(色を塗ってるだけだけど)、1年と3年の夏は過ぎた。吉本ばななとクリスティを読んだ。2年の夏は、明らかに向いていない役職をあてがわれた。今思い出しても、あれはかなしい。高校から帰宅するころにはあたりは暗くなっており(8月はもう日が沈むのが早くなっていく)、家に帰る電車の中はひんやりとしていた……と思う。たぶん。

 そのあとの、何度も何度もやってきた夏のことは、そのときに見た映画だとか、やっていたゲームだとか、そういったものと紐付いていて、けれど、その順番はあまり定かではない。……と書いていて、今さら気づいたんだけど、そういうのとばかり紐付いているというのはつまり、「人間関係」というのが、私の人生においてそれほど大きく機能していない(というか、ここ10年くらい仕事関係を除いては人間関係がほとんど変化していない)ことにも原因があるのではないか?

 今年の夏は何と紐付くのかなあ、とぼんやりと思うのはあまり主体的ではないのだけど、どうなるのかなあ。