原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

竹宮ゆゆこ『知らない映画のサントラを聴く』

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 物語の類型の中に、「親密であった2人の女性」ものがある。私のファーストコンタクトはたぶん『TUGUMI』で、ぱっと思い出せるのは、『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』だ。どちらも、ちょっと変わったタイプの女性が「主人公ではない側」で、そして、死の影がある。

 この『知らない映画のサントラを聴く』を読みながら、これはその系譜にある話なんだなと思っていた。物語の中に登場する男性が、先立たれた女性の姿を求めて女装をするところには『ムーンライト・シャドウ』を思い出す。「先立たれた者たち」というのも、類型ではある。というか、吉本ばななの初期の作品は基本的に先立たれてばかりだ(最近のは知らない)。

 類型ではあるけれど、その「先立たれたこと」をどうやって飲み込んでいくかは、(この作品の中だけでも)全然異なるし、それが物語になる。

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