原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

物の年月

 思い起こしてみれば、カッター派よりもはさみ派だった。いや、明らかに機能がちがうけれども、何かを切るということについて、カッターよりはさみを使うことが多かった。そして、今も多い。家にははさみが三本あるけれど、カッターは一本もないのだった。

 こういうことって、おそらく小学生のころの習慣が影響していると思えて、そのころの性質がその後の生活を大きく左右すると思うとすごい。今持っているはさみのひとつは中学校の卒業記念品で、かれこれもう15年以上経ってて、それもなんか不思議な感じがする。小学生や中学生のころ、自分の持ち物がそれだけ長い間使い続けられるものだとは思っていなかった。というか、考えたこともなかった。

 そういう気持ちになって周りの物を見回してみると、電子レンジはすでに15年物だし、使っている机も似たようなものだ。その上に乗ってるスタンドも、たしか中学生のころから使ってるのに電球変えた記憶がなくてすごい。

 今持っているもののうち、ひょっとするといくつかは最後まで持ってることになるのかもしれないと思うと気が遠くなるのだけど、自分が40歳とか50歳とかになることにまだリアリティがないように、そのころの自分が持っているものというのも想像がつかない。