原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

生活を整調するAI

ラブプラス』というゲームがある。やったことはないので、記事とかレビューとかそういったものから大体の想像をしているのだけれど、疑似コミュニケーターというか、仮想人格と一緒に生活するようなイメージ。生活とまではいかないのかもしれないけど、だいたいそういうところ(のはず)。


恋愛じゃなくて、複数の友だちとコミュニケーションしていくみたいのならやってみたいなと思っていたのだけど(しかし、私は『どうぶつの森』もそれほどには長続きしなかったことが懸念される)、12月に出るという3DS用の新作で「一緒に本を読んでいく(音読するわけではなく、感想について話せる)」機能があると聞いて、世界がぐんにゃりとした。なんかすごい。たぶん、技術的にはさほどでもない(というか最初から本の感想を読書の進行度に合わせて出力するだけだろう)のだろうけれど、発想がすごい。というか、ありそうでなかった。いやあったのかもしれないが、私は知らなかった。


本を読む楽しさには色々な種類があると思うのだけど、その中でも、本を媒介にした人とのコミュニケーションの楽しさというのがある。しかし、意外とその機会を得るのは困難な場合があって、インターネット上のファンサイトや掲示板などを除けば、現実生活の中で、共通の本について話せる機会は少なくなってしまう場合がある(メジャーな本なら別だし、そういうコミュニティを持つ人であればさらに別だけど)。


その意味で、本について「感想」を話す疑似人格というのは、なんだか面白い。また、私は以前から「読む途中の感想」のシェアって意外と楽しいんじゃないかと思っていて、たとえば連続ドラマとかテレビアニメではそういうことが出来るのだけど、本だと、それぞれの進度があるので、シリーズ物でもなければ、それができにくかった。それができるというのもなんかいい気がする。


iPhone4SのSiriもそうだけど、これからの生活の中にはAIのようなものが少しずつ入ってくるのかもしれなくて、「いや、それより現実の人間とコミュニケーションしろよ!」というのはもっともなんだけど、でも、なんだか現実の人間とのコミュニケーションとは異なる楽しさのようなものを、というか、なんか読書とかダイエットとか料理とか掃除とか、そういったもろもろの伴走者になってくれるような存在というのが出てきて、生活の整調のようなものに活きてくると、それはわりと楽しいのではないかなあと思いました。