原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

内沼晋太郎『本の逆襲』

[asin:4255007586:detail]
 さくっと読める本ですが、読んでいるうちに色々な想像ができておもしろかったです。特に後半、筆者の内沼さんが経営されている本屋B&Bの紹介あたりからおもしろくなっていきます(前半はわりとよく目にする話題が多くて、いまひとつ。ただ、よく整理されているとは思いました ←えらそう)。

 おもしろかったのは、「ソーシャルリーディング」について書かれていた次の部分。

 電子書籍に詳しい一部の人々のあいだでは、ある時期盛り上がったこの「ソーシャルリーディング」というコンセプトにも、もはやあまり可能性を感じないという人もいます。一方、この進化の先にはたとえば、同じ本の読者同士がSNSのようにつながりいつしか友達になったり、読者同士で盛り上がった議論に著者本人が参入して物語の裏話が明らかにされたり、書評家などの読み巧者によるハイライトやコメントのデータが一種の「解題」としてオプション的に販売されたり、といった未来も想像できます。ブログやSNS、有料メールマガジンなども、現在のような盛り上がりは数年前には想像できませんでしたから、ぼくは今後まだ「ソーシャルリーディング」には可能性があると感じています

 電子書籍がそれなりに普及しはじめているにもかかわらず、ソーシャルリーディングの機能はいまひとつです。内沼さんが書かれている通り、まだ諦めるところではないと思っています。

 私は本の感想を書いたら、そこから他の人の感想をはまぞう*1経由で見にいくことが多いのですが、電子書籍の場合、最後のページに感想を書いてあるブログの一覧が表示されるといいなあ、とよく思います。たとえば、はてながどこかの電子書籍サイトと連携する、ということも可能性としてありえないことではないと思う。

 現状の電子書籍サイトは、結局ほぼ値段と品揃えの競争になっていて(あとReaderの読みやすさとかもあるけれど)、そういうサービス面での違いが見えにくいのが難点です。もちろん、できれば各ストア間で閲覧権を共有させてほしいですが、コミュニケーション面でもうちょっと差別化することもできるはず。

 ただ、そんなことは中の人たちにはいくらでも思いついているはずなので、実行されないことにも理由があるのだと思います。世の人はそれほど交流とかしたくないのかもしれない。

 あとぼんやり読んでいてふと浮かんだのは、DSとかの「すれちがい通信」と「読書」がどうにかつながらないかなあ、ということでした。通りすがりの人のおすすめ本とか知りたい。以前、iPhoneアプリに「TRAVATAR」というすれちがいアプリがあったのですが、ああいう仕組みを使ってそういうことできないかなあ(すでにありそう)

移動掲示板としての「TRAVATAR」 - 原子メールの届いた夜に

 そういう夢の広がる本でした。本に関して色々想像したい人におすすめです。

*1:最近この名前使われてないのかもしれないけど、はてなAmazonリンクのこと。