原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

天野こずえ『あまんちゅ!』

 アニメーションでは見ていたのだけど、原作未読だったので年末に大人買い。しかるのちに、お正月に一気に読みました。面白かったー。『ARIA』も読みたいなとは思っていたのだけど、電子書籍にならないかなとぼんやり待つこと幾星霜。先に電子書籍になったこちらから読むことになりました。

 直前に『銀の匙』をこれまた一気に読み直してたこともあって、両者とも「高校時代」の時間の移り変わりが描かれている点で振り返ってみれば似ています。『あまんちゅ!』は14巻まで読みましたが、ここで1年生として入学した「てこ」と「ぴかり」がついに3年生に。季節が二巡りしたことで、卒業していく人、入学してくる人、と変化していきます。

 特に2年生~3年生編は、てこがある程度成長したこともあり、視点がぴかり側や後輩になるエピソードが多くなっていて、シリーズ前半ではわりと盤石のように見えていたぴかりの脆さみたいなものに焦点が当たることが増えてきたでしょうか(てこの中学時代の友人に出会うところなどで、その脆さの一端は見えていたわけですが)。修学旅行の迷子とか、2年目のクリスマスとかは特にそのあたりが顕著。

 読んでいて思うのが、見開きを使って色々な「二人」を対比するのが面白いな、ということ。

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8巻

 ここはてことぴかりの反応の違いがよく出ていて、でも、これ少し後のページで反転する。この他にも──

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10巻

 こっちはぴかりと妹のこだまの対比。

 とにかく、こういったコマ割りが楽しい作品なので、見開きで読むのが一番だと思う。その点では、電子書籍の場合は大きな画面で読んだ方がいいのだと思います。

 てことぴかりの卒業を描いてシリーズが終わるのかな、と思うので、連載中に間に合ってよかった。楽しみに新刊を待つ作品が増えました。