原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

『言の葉の庭』


『言の葉の庭』 予告篇 "The Garden of Words" Trailer - YouTube
 映画館で見ました。46分の中編作品です(言の葉の庭)。もう少し長く見たいかな、という感じもしましたが、これくらいの長さの方が繰り返して見るにはいいのかも*1。雨を楽しむ映画だと思います。

 冒頭、実写? と思うようなシーンから物語がはじまっているのだけど、それが全編を覆っているわけではなく、物語の地点地点によって、リアリティの度合いが変化しているように思いました。インタビューでも、そのあたりのことが述べられています。

 「アニメーションは波紋や空気中の粒などどのようにも描くことができる」としたうえで、今作は自らコントロールした部分と各スタッフのビジョンがにじみ出ている部分があると明かす。冒頭のシーンは劇中よりも抽象的なイメージを構想していたそうだが、「写実的になることは必ずしもマイナスじゃないんですけれど、もう少しシンプルにやりたかった。でも、スタッフが頑張ってできたものを見てみたらすごいし、集団作業は自分が思い描いていた通りに仕上がるわけではないんですよね。そこが面白い」と醍醐味を語る。

言の葉の庭 インタビュー: 新海誠監督が「言の葉の庭」までの10年で発信しているメッセージとは? - 映画.com

 雨の様子もシーンごとに異なっていて、BGMとして流していたい感じ。ビニール傘に雨が当たる音がとてもいいです。あの、普通の傘とは違う、ばちばちって感じ。いい。

 物語としては、『秒速5センチメートル』や『雲のむこう、約束の場所』(の後半)のトーンが強く、いつも通りといえばいつも通り。女性側の決意と動きを描いていたところが少し違うのかな*2。後半、ユキノが走り出すシーンは、ちょっと『とらドラ!』を思い出しました。観た人しかわからないこと書きますが、落ちる! と思ってちょっと身体動きましたよね。あぶないよね。

 靴を作る、ということが、これから歩き出すことの比喩にもなっている、というのは面白いし、これまでの主人公よりも前向きに打ち込んでいるようすはいいなあと思いました。これまでの主人公、みんな石みたいになっていってたからね……。ひろきのヴァイオリンとかね……。ただ、もう少し靴作りの面白さ、みたいなところが観たかった、と思うところもあって、そこが十分には描かれていないために、比喩としての印象深さもちょっと弱い。

 とはいえ、何度も繰り返してみるうちに印象が変わるのかも*3

 あと、声の演技。ユキノ役は花澤香菜さんなんですが、序盤はうーん……とちょっと思ってしまいました。黒猫(@『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』)に聞こえて、絵と声とがずれてるように感じるというか……。後半気にならなくなったところをみると(つまり後半はよかった)、意識のチューニングがあってなかったのかもしれないのですが、新海さんの物語はアニメーション的な演技との親和性がやや低いのではないかと思います。ジブリが声優をあまり起用しないことはよく批判されていますが、「いわゆるアニメーション」のトーンから離れようとするならば、それもまあわかる……かなあ。他の人の意見を聞きたいので、ブログで感想めぐりします。これも、何度も繰り返してみると気にならなくなる系統の話のような気もする。

 そして。ジブリと言えば、この映画の最後に『風立ちぬ』の4分間の映像が流れたんですけど、おかげで『言の葉の庭』の余韻消えたよね……。それはひどいよね……。予告は最初に流していただきたいです。

[見かけた感想集]
「言の葉の庭」を観て――ありふれた46分間の波紋 - subculic
言の葉の庭 - 自由日記

*1:「最初、タブレットやスマートフォンなど個人のデバイスで、個人の生活の隙間の中でも気持ちよく見てもらえる作品として考えていところもあり、中編規模だった」http://goo.gl/Kk1Jm

*2:秒速5センチメートル』の「コスモナウト」は、逆に男性側の動きがない。

*3:Blu-ray、劇場ならすぐに買えたのですが、差額に負けてAmazonで。定価はさすがに高いのです……。