原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

『空の青さを知る人よ』

 いい映画だった、と思い、けれど、何を言葉にすればいいのかなあ、と思ったまま帰ってきて眠ったら、夢の中で色々言葉が転がってきたけれど、目が覚めたら何も覚えていない。でも、言葉が転がってきた感覚だけはわりとまだ手の中にあって、その手触りはとてもいい。

 気持ちのいい主人公だったと思う。誰が主人公か、というのはこの映画では結構難しいけど、私の中での主人公は相生あおいだ。映画を見ている最中、何度も、ああ、これはいい映画だなあと思っていたのだけど(今回はほとんど泣いてないよ)、その大部分は、この主人公を見ていることが、とにかく面白いということだった。スマートフォンの画面が割れたままにしてるのいいよね。

 特に、序盤から中盤にかけての小学5年生の男の子ツグとの関係性はとても楽しい。ツグの付き合いのよさもよい。苦労するだろうと思う。

 この映画の、主要な登場人物ということになっている4人のうちの2人は年長世代で30代だけど、今の私よりは年下で、そうだよね、まだ全然だよね、と思う。歳を取ったな、と感じることが日々増えて──いや、そんなにまだ増えてなかった。これから増えてくるだろうと思うのだけど、相生あかねが(強がりのように)言っていたように、まだまだ全然なのだった。

 この映画は、リスタートの物語であり、呪いと思っていたものが呪いじゃなかったんだよ、という物語だったと思う。Blu-rayが出たら、見直してまた考えてみたい。