ブギーポップを読み直す(3)
『ブギーポップ・イン・ザ・ミラー「パンドラ」』
初期作品の中では一番人気だった気もする3作目。登場人物ががらっと入れ替わっているので、初期シリーズにおいてはやや「外伝」的な趣があります。『ブギーポップは笑わない』やその後の『VSイマジネーター』の背後で動いていた物語でもあり、まだ宮下藤花とつきあう前の竹田先輩や暗躍していたころの早乙女くんも登場。凪のパートナーの健太郎はここが初出。ここらへんから能力名ががんがん出てくるようになってきて、異能ものっぽくなっていきました。当時はそういう名前をどんどんつけていくノリはあまり好きではなかった*1。そして、今読み直してみると……特にこうパンドラの序盤は、現在で言うところの中二病的なノリにもみえます。
彼女の指が動いて、スケッチブックに何やら絵が描かれていく。
「〈自動写生〉が〝始まった〟のか?」
神元が訊いた。しかし彼女は首を振った。
「駄目ね。これは頭で描いてる」
〈自動写生〉には「オートマティック」というルビが振られていますよ。
統和機構によって造られる合成人間に対して、自然発生的な超能力者?であるMPLSという単語が使われています。この物語の主人公たちのうち、4人がMPLS……ということでいいのかな。数宮三都雄、七音恭子、天色優、神元功志、辻希美、海影香純。
記憶では、最後はみんないなくなってしまった……ような気がしてたのだけど、案外そうでもなかったですね。天色優=ユージンが再登場してたのはみた記憶があるのだけど(しかし、あれは過去のエピソードだったか?)、キトを含めた他のメンバーはどうだったかなあ。
この物語単独でみても、よくまとまっている話だと思います。
*1:『ジョジョの奇妙な冒険』などの影響を受けているらしいのですが、私はまったくジョジョを読んだことがないのでよくわかりません。