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原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

星空めてお『ファイヤーガール』その4

 どうやら最終巻になるらしい3巻の上。中と下が出るみたいです。終わっちゃうのさびしい。中と下が2巻下並の厚さにならないかな……(2巻下は600ページありました)。

 いよいよ3年生たちが卒業へと向かう3学期。そのスタートとなる本巻は「失敗」の話でした。新しいキャラクターのガブリエッラも登場(表紙真ん中)。『エクスプローラーズ・ガイド』のカバーにこっそりいたキャラクターで、「誰だこれ……」と思ってたのですが、謎が解けました。

 以下、起こった失敗をひとつずつ取り上げてみましょう。

転移試験の失敗

 虚惑星において、日本からブラジルへの長距離転移試験。3年生の中でもエース級魔法使いが関わって行われた試験でしたが、これが失敗。正確に言うなら、転移はできたけど、出現座標がずれました。まあ、物語における実験の類って九割方失敗しますよね。そりゃそうだよね。ほむらは合わせて「両親への連絡」も失敗しています。連絡ってね、しそこねると、どんどんしにくくなっていくよね……。

火蜥蜴との戦いでの敗北

 これまで描かれてきた原生生物の中でも最も脅威として登場した火蜥蜴。ほむらが練習してきた〝点灯夫(ランプライター)〟の魔法は、かなり強力なものとして描写されましたが、結果は吸収されて終わり。結局、後輩組だけでは勝てず、部長たちの力で解決します。おまけに東野が死にかかる、というアクシデントつき。このことが、ほむらのかつての「彼」を強く思い出すきっかけになっています。

すばるへの弟子入りの失敗

 すばるから弟子入りの提案があり、ほむらと東野とが対象となりました。が、ほむらは転移試験の失敗のときに「家族」のことを意識した結果、長期間の虚惑星への滞在を拒否してしまいます。父親の内心の吐露、これまで明るく振る舞っていた母親の不安。

雨乃のエラー

 雨乃が介護をしていた石蕗子さんが冒頭で亡くなります。それ以後、介護ロボットとして雨乃は自分の感情をうまく捉えられない状態になっています。

「介護をしても、いつかは亡くなられてしまうんですね……」(p.406)

沙毬のメジャーチェンジを見守ることの失敗

 雨乃と同じロボットであるところの沙毬が、次の身体になるためのメジャーチェンジを行い、それにほむらも願い出て付き添います。……が、内臓含めて、全てを自分自身で作るその作業を見守ることができず、途中で退席。

 一皮剥いたら、自分でも信じられないような、あれやらこれやらがいっぱい詰まってるんだ。(p.433)

沙毬のメジャーチェンジの失敗

 そして、沙毬のメジャーチェンジも原因不明の失敗。一時は自我の確立も危うかったようですが、なんとかなりはした模様。

 と、ざっと挙げただけでも、今回は失敗し通しです。やることなすことうまくいかない状態の中、最後に起こる大きな事件。

 すばるの中にいるプレイアデスからの警告によれば、ほむらの心の中には「厖大なるもの」がうごめいている様子。以前からほむらの特殊性についてはちょくちょく伏線が敷かれ、また、それに大きく関わったであろう雨乃と見た星の死のエピソードも差し挟まれています。次巻はよりいっそうのクライシスが起こりそうです。中巻の表紙かっこいい。価格が上巻より高いってことは、ちょっと厚いのかな。どうなのかな。

ファイヤーガール 3 青銅の巨人 中巻 — TYPE-MOON.COM