原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

樫木祐人『ハクメイとミコチ』

bookwalker.jp

 描き込まれた世界観の中で、2人のこびとが生活する物語。こびとといっても、少なくとも現段階では「人間」は登場せず(存在しない?)、世界にはこびとと動物と虫とが共存しているようです。相互に言語による意思疎通がある程度可能っぽい(鳥とは言語によるコミュニケーションはできないみたいだけど)。動物たちはわりと服を着てます。あ、あと野菜類が巨大だ。

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2巻より。西瓜の種が大きい。

 ファンタジー的な世界観なのだけど、戦うとかそういう方向ではなく、まさに「生活している」感じ。みんながわちゃわちゃしてる感じはどことなく『聖剣伝説 レジェンドオブマナ』を思い出させてくれるところがあります*1アナグマとかいそう(実際いるけど)。あの作品が好きだった人はきっと気に入ると思う。

 とにかく魅力は舞台設定がしっかりしているところにあり、描かれている小道具全てに色々と意味を想像できて楽しいです。卵の殻を使った美容院も、何の卵なのかなあ、とか、落ちてたのを再利用したのかなあ、とか。

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2巻より。なぜ転がらないのかは作中で描かれています。

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1巻より。主人公のひとり、ミコチが手伝いをしている夢品商店。ミコチは料理/裁縫技能が高い。なんとなくTRPGぽさも感じます。

 あとは、ときどき出てくる迷宮性の高い市場や館。その中で迷ったり、喫茶店に寄ったり、追いかけっこをしたり。そういう楽しさのある作品。

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1巻より。こういう町の描写、大好き。

 現在3巻まで刊行されていますが、長く続いてほしいなあと思う作品です。

*1:そういえばこの作品も主人公たちは木に作った家に住んでいます。