原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

その土地との距離

 そんなに頻繁にではないけれど、県外に出張することがある。一番多いのは隣県への出張。隣県とはいっても、それなりには遠いので、数時間かかる。そうすると、変な話ではあるのだが、下手するとその隣県よりも(飛行機を使えば)東京の方が体感的に近い、と、そういうことが起こる。

 とはいえ。

 もちろん、東京といっても羽田につくわけで、そこから目的地までは大抵結構かかる。なので、東京の方が近い、というのは時間的に見てもやはり気のせいなのだが(そして飛行機はだいぶ簡易化されたとはいえ、乗るまでに時間がかかる)、隣県はともかく、その隣の隣くらいの県になると、「東京よりも遠いなあ」という気分にはなるのだった。

 出張を繰り返していると、特定の土地については住んだことがないのにだんだん詳しくなっていく。隣県はメインになる駅の周りくらいしか詳しくなっていないけれど、色々歩き回ることになる東京だと、それなりに見知った感のある街も出てきた。

 ただ、その知識は歯抜けだ。都市全体を知っているというよりは、ばらばらのパーツだけを知っている。お茶の水とか神田とか、あのあたりが「どこがどうつながっているのか」はイメージできるけれど、そこと他の街との位置関係はよくわからない。だから、ときどき歩いて移動して突然見知った街に接続されると、「え、ここがこうつながってたの」という発見になって楽しい。

 地図をちゃんと読めば、「そりゃそうだ」なのだろうけれど。

 バスならそういうのわかって楽しいよ、という意見も聞くのだけれど、バス苦手なんですよね。