原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

電子手書き考2014 MetaMoJi Note と OneNote、ついでにEvernote

 先週のお題が「書くこと」だったので、それにかこつけて書こうと思ってたらもう終わってました。金曜までとか知らなかったよ。

 電子手書きについては、過去に次のような思考の変遷があります。


 もう何度も書いてますが、ありがとうenchantMOON。君がいなければ、この道に気づくことができなかったよ……。いろいろ揶揄されていますが、下記の記事の次の記述はその通りだと思います。

 見たり聞いたり想像したりして、頭のなかにあるもやっとしたものを一旦は外に出して、そこから作りたいものを固めていくためのメモの段階については、手書きというアナログ入力を使って、あれやこれやと消したり書いたりした方がスムーズです。もちろんテキストエディタなどを駆使してこの作業をデジタルで完結することもできないこともないですが、どうしてもデジタルでは代替できない余白が残ります。いきなりデジタルな入力で頭のなかのものを表現しようとすると、どこか不自由さを感じるのです。特に図での整理が必須となるような数学的問題や、数式はデジタルで整理するのはとても難しくなりますし、漠然としたものごとの関係性などを書き下すにはデジタルデバイスでは限界があります。

ASCII.jp:清水CEO自らが語る、enchantMOONとは何だったのか? (1/4)

 あと、次のところはやっぱりわくわくします。

 紙のノートだと途中までしかできないことが、手書きコンピュータだったら、それを他の機械に持っていくことなくシームレスに頭に思ったアイデアを実際のプロダクトやコンテンツに昇華させていくことができる可能性がある。これがとても重要なことです。そして今のところ私はアナログとデジタルの融合を果たす鍵は、アイデアから実際のプロダクトに至るまでの人間の知的生産全体をプログラミングというフレームで捉えることなのではないかと考えています。

 今、我々はプログラミングと文章を作ること、絵を描くことなどを全てバラバラのことだと思っている。しかし人類が昔から持っていた色々なもの、管理の仕方、まとめる手段、構造化する方法、考える手順、これらのプロセスを純化したものがプログラミングだと捉えるれば、アナログとデジタルという垣根が無くなり、更にスムーズにアイデアをデジタル化していくことができるのではないか……まだまだそれは答えが出るまで時間がかかりそうですが。

ASCII.jp:清水CEO自らが語る、enchantMOONとは何だったのか? (1/4)

 では、以下現在の電子手書きについての覚え書きです。

 手書きができるアプリとしてメインで使っているものは、MetaMoji Note(旧Note Anytime)とOneNoteです。両方とも、メインの運用はVAIO Duo13。その他、iOSでも使います。ただし、OneNoteの方は、iOSだと手書きができません(手書きしたものの表示はできます。viewerとしてはとても使いやすいです)

MetaMoJi Note

MetaMoJi Note

  • MetaMoJi Corporation
  • 仕事効率化
  • ¥980
https://itunes.apple.com/jp/app/microsoft-onenote-for-ipad/id478105721?mt=8&uo=4&at=11lckv

 この1ヶ月ほど、これまで使っていなかったOneNoteを使ってみたのですが、OneNoteとMetaMoJi Noteの性質の違いがようやく言葉になってきました。使い方の可能性は色々ありますが、少なくとも現在の私の使い分けとして書いてみます。なお、使用しているOneNoteは2013です。デスクトップ版もストアアプリ版も両方使っています(OneDriveで同期されるので、両方で同じ文章の編集を行なうことができます)

MetaMoJi Note

 MetaMoJi Noteは、使い方としては、「1から手書きで書く」ことに向いています。あるいは、pdfを読み込んで、そこに書き込みをしていく用途にも向いていると言えるでしょう(そのままpdfとして出力すれば、書き込みのあるpdfができあがります。これはOneNoteでも可能は可能ですが、あまり向いていません)

 それをサポートするために、MetaMoJi Noteでは、ペンを選択したり、アンドゥをしたり、投げ縄選択を細かくかけたり、といったことが行ないやすくなっています。拡大・縮小の幅も大きいので、拡大して細かく書き込むことにも向いています。


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OneNote

 一方、OneNoteは、使い方としては、「1から手書きで書く」ことにはあまり向いてません。どちらかといえば、最初はキーボードで文章を打ち込んだり、キャプチャーしたパーツを貼り付けたり、といった使い方になります。これは、(特にデスクトップ版では)ペンの色を変えるのが少し手間、という点に顕著です。キーボードの付属していないタブレットの場合、OneNoteはやや使いにくくなると思います。逆に、デスクトップでもOneNoteはそれなりに便利です(MetaMoJi Noteはデスクトップだとほぼviewerにしかなりません)。

 とはいえ、手書きへのアクセスが悪いわけではありません。むしろ、キーボードで文章を打っていて、ふと気づいたのでペンで書き込む、ということが特別な操作なしに可能です(慣れれば、ペンを手に持ったままキーボードを打つことはそれほど難しくありません*1)。

 「キーボードで文字を打つ」という行為と、「手で文字を書く」という行為がこれほどスムーズにつながるのは衝撃ですらあります。これが、OneNoteを使い始めてもっとの新鮮な感覚でした。MetaMoJi Noteももちろん手書きとキーボード文字を同居させられるのですが、キーボードでの文字入力には、入力形態の切り替えが必要なので、ワンステップのアクションが存在します。このワンステップが大きい。

http://instagram.com/p/tK5jPokbJ7/

 なお、OneNoteの場合、手書き文字も検索対象になります。これはenchantMOONと同じですね。

使い分け

 以上のような特性の違いにより、現在は次のような使い分けをしています。

  • MetaMoJi Note → アイデアの発想用、講演などの記録、pdfへの記入
  • OneNote → アイデアの記録・蓄積用

 思いついたことや色々な本などを読んで記録したことをどのように「再活性するか」はずっと課題になってて、Evernoteがその役割を担うかなーと思ってたんですが、思ったよりもEvernoteは見直しにくい。

 とすると、Evernoteは雑多に蓄積する場所と割切って、テーマなどを整えて整理する場所が必要になります。一時期Scrivenerをその用途に使おうとしてましたが、そもそもそういう風に使うものじゃないよ、というものなので無理がありました。

 それで使い始めたのがOneNoteです。以前一回挫折してたのですが、もう一度使い始めてみると、慣れればすごく快適であることがわかりました。手書き部分も検索できるのが便利だし、さくさくノートを切り替えられるのもぱらぱらと見ていくのに向いています(MetaMoJi Noteは、最近タブが実装されて切り替えやすくなったけど、それでもノート間の切り替えがしにくい)

 1年後どうなってるかわかりませんが、現在の電子手書きはこんな感じです。

*1:ただ、これは私がホームポジションとかを無視した打ち方をしてるからかも。