『ココロコネクト』からは世界観を一新し、輪月高校を舞台に物語が展開します。特徴は、「輪月症候群(シンドローム)」と呼ばれる、異能の力が存在していること。在校生にしかその存在が認知されず、卒業したらなくなってしまうその力を、皆が知っている、ということを前提とした世界観です。
学園! 異能! と来たら、学園異能バトルが始まりそうですが、『ココロコネクト』の系譜を引いているだけあって、そこで起こる問題は、「目覚めたものへの排除」「疑心暗鬼」と、どんよりしたもの。『ココロコネクト』とは異なり、「部活」のような仲間意識が生まれる前の状態から始まるので、序盤から中盤の展開では、徐々に空気が悪くなっていくあの感じにどうすることもできない、という流れが描かれます。そこから終盤の展開もよかった。
異能の内容は色々ですが、【金縛り】みたいなものもあれば、【話した言葉が文字で見える】みたいなものもあり。どうやら、その人の持っている願いと関連しているようなので、またわりとぐさりとくる展開がみられるのかなあ……。
── 【透明人間】になりたいと思うことなかったか?
だって。笑っちゃう。
そう願ったことは、あった。もちろん本当に透明になりたいんじゃなくて。
ただわたしが望まない時は、みんな視線を外してくれたらいいのになって。
登場するキャラクターも色々と隠し持っているようで、次巻以降が楽しみです。