原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

喪失が約束された幽霊譚

 1巻を読んだきりほったらかしになっていた『ヒカルが地球にいたころ……』を読み始めました。とりあえず1巻読み直した。
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 この物語は源氏物語を下敷きにしているわけですが、特徴的なのは光源氏であるところの「ヒカル」がすでに亡くなっており、幽霊として登場しているところです。主人公は是光。原作だと後半出番あったっけ……。頭中将とかも登場するのでしょうか。

 で、物語における「幽霊」はいつしか別れが来ることがほぼ宿命づけられてもいて、この1巻でもその予感を感じさせつつもまだ成仏せずに存在する、という終わり方になっています。でもいつかいなくなっちゃうんだろうなあと思うとさみしい。

 幽霊いなくなる系の話でよかったのは、白岩玄の『空に唄う』です。
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 もう読んで下さいとしか言えないのですが、本当によい幽霊譚。幽霊との生活を丁寧に丁寧に描いた、静かなお話です。おすすめ。