原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

庵田定夏『ココロコネクト ヒトランダム』

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 アニメーション版は見ていましたが小説版(原作)ははじめて読みました。アニメーション版の第1話から第5話に該当する話です。wikipedia見て気づいたけど、ミチランダム見てない。原作とどちらを先にすべきか……。

 アニメーションは群像劇としての性質が強く、小説でもそれは同じですが、三人称視点の視点人物が太一に統一されています。そのため、地の文では太一だけが「太一」と名前で表記され、残りは長瀬・桐山・青木・稲葉と姓の呼び捨てで呼ばれています。

 ライトノベルだと、女性キャラクターは「名前 or 姓のさん付け」で呼ばれることが多い(と思う)ので、これは結構新鮮。あ、でも長門有希は「長門」か。そうでもないかもしれなかった*1。ただ、この小説ではあえて、これを徹底して行っているような気がします。わりと頻繁に「桐山」って誰だっけ、みたいに姓とキャラクターとの不一致が起こる。それは、この物語が「人格の入れ替わり」によって、「えっと、今誰と誰が入れ替わってるんだっけ?」ということを考えさせる物語だから、ということでもあります。

 今後も太一が視点人物として継続するとすれば、関係性の変化によって地の文の表記も変わったりするのでしょうか。そこまでどっぷりと太一の心情と一致する語りではないのでそういうことはないかなあ。

 続きも読んでいきたいと思います。

*1:ただ、あの表現は「長門」という存在の非人間的性質(と裏腹に漏れる人間的性質)を表すためなのでイレギュラーな表現と言えそう。