原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』

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 いまさらで大変申し訳ないのですが読みました。電子書籍既刊分の3巻の途中まで。おもしろいです。おもしろかったんですが、ベストセラーになる理由まではよくわからない……かなあ。

 本をめぐるミステリーにはたぶん色々なものがあると思うのですが、この本はライトノベルという括りという扱いを受けているようなので(個人的にはメディアワークス文庫ライトノベルとは読者層が異なっているのではないかと思ってるのですが)、野村美月さんの「文学少女」のシリーズを思い出します。

 「文学少女」のシリーズは、実際に起こるできごとと各巻で中心となる物語とが重なったり重ならなかったりで、「何を下敷きにして描かれるのだろうか」というのが興味をひいていたのに対して、「ビブリア古書堂」では、そこまで本の内容と物語とがダイレクトにはつながっていません。もちろん、本も食べない。それはそうか。

 それぞれの物語は静かに進んでいくもので、読んでいて楽しいです。謎は過剰ではなく、古本屋の中の雰囲気もいい(「普通の」お客さんがほとんど出てこないような気もしますが)。主人公と探偵役の栞子さんとの関係も好ましいようにみえます(過剰に裏を探ってしまうのは「文学少女」の残り香かもしれない)。

 ただ、やはりどこが爆発的に受けたのか、というのはよくわからなくて、それで少しもやもやしています。この記事(http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20130304-OYT8T01066.htm)によれば、読者層の8割が女性とのこと。

 この物語がこのように受け容れられた理由について、どこかに解説したものはないのでしょうか。

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