原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

天野こずえ『あまんちゅ!』

 アニメーションでは見ていたのだけど、原作未読だったので年末に大人買い。しかるのちに、お正月に一気に読みました。面白かったー。『ARIA』も読みたいなとは思っていたのだけど、電子書籍にならないかなとぼんやり待つこと幾星霜。先に電子書籍になったこちらから読むことになりました。

 直前に『銀の匙』をこれまた一気に読み直してたこともあって、両者とも「高校時代」の時間の移り変わりが描かれている点で振り返ってみれば似ています。『あまんちゅ!』は14巻まで読みましたが、ここで1年生として入学した「てこ」と「ぴかり」がついに3年生に。季節が二巡りしたことで、卒業していく人、入学してくる人、と変化していきます。

 特に2年生~3年生編は、てこがある程度成長したこともあり、視点がぴかり側や後輩になるエピソードが多くなっていて、シリーズ前半ではわりと盤石のように見えていたぴかりの脆さみたいなものに焦点が当たることが増えてきたでしょうか(てこの中学時代の友人に出会うところなどで、その脆さの一端は見えていたわけですが)。修学旅行の迷子とか、2年目のクリスマスとかは特にそのあたりが顕著。

 読んでいて思うのが、見開きを使って色々な「二人」を対比するのが面白いな、ということ。

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8巻

 ここはてことぴかりの反応の違いがよく出ていて、でも、これ少し後のページで反転する。この他にも──

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10巻

 こっちはぴかりと妹のこだまの対比。

 とにかく、こういったコマ割りが楽しい作品なので、見開きで読むのが一番だと思う。その点では、電子書籍の場合は大きな画面で読んだ方がいいのだと思います。

 てことぴかりの卒業を描いてシリーズが終わるのかな、と思うので、連載中に間に合ってよかった。楽しみに新刊を待つ作品が増えました。

『響け! ユーフォニアム』

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 2019年を大きく印象づけたのは5月の10連休で、あの、なんだかぽかんとした日々の中で「中で本が読める車を買おうかな」とか、そういうことを私は思った。これまで、明確な意志で車を買おうと思ったことはなくて、適当な中古車に乗ってた私にしては、それは珍しい欲望の形だ。

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 その10連休で読んでいた本が『響け! ユーフォニアム』のシリーズだった。電子書籍をずっと待っていたんだけど待ちきれず、今年になって『誓いのフィナーレ』を見たことでもう我慢できなくなり、紙の本を集めた(そのうちの1冊はどこもかしこも売り切れで古本屋を探したりしてしまった)。

 合わせて、テレビシリーズのBlu-rayも全て買い集めた。5月から6月にかけてずっとそんな感じで、そのことは日記にも残っている。

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 テレビシリーズのBlu-rayを集めたのは、本編を見直したかったというのもあるけれど、コメンタリーが入っているからというのもある。キャストコメンタリーとスタッフコメンタリー。特にスタッフコメンタリーは、楽器の映り込みがどう作られたかといった話や、取材の話などがたくさんあって、面白い。



 うーん。ここまで書いて、この続きを書くのが難しい。Twitterで少し触れたくらいで、何を思ったのかを外に出す言葉として表したことがなかったからだろう。

 とりあえずの事実として、コメンタリーは途中までしか聞いてない。原作の最終巻も、購入してから読むまでにかなり時間がかかった。

 それなりの時間が過ぎたから、それはもう起こったこととして思うことができるけれど、7月から8月にかけてはふわふわとしていて、もしかしたら夢だったんじゃないかなと本当に思った。そんなことが本当に起こると思っていなかった、という言い方は安っぽい。なんでそんなことが、ということでしかない。

 声を聴いていた。作品について楽しそうに語る声を。あの人たちに降りかかったこと。今、どう過ごされているのかということが気になってしまうのは、好奇心なのかもしれなくて自分の心がよくわからない。『誓いのフィナーレ』のディスクには、コメンタリーは入っていない。

 まったくまとまってはいないのだけど、来年になったら、残ったコメンタリーを聴こうと思う。

2019年の電子書籍

 定点記録の電子書籍日記。

 まずは昨年までの蔵書数です。

BOOK☆WALKER:2809冊:2018年購入冊数419冊
紀伊國屋書店(Kinoppy):145冊:2018年購入冊数5冊
Amazon(Kindle):146冊:2018年購入18冊

 もう紀伊國屋Kindleはあまり増えないので、割愛。

BOOK☆WALKER:3433冊:2019年購入冊数624冊

 んん? 去年は「だいたい購入冊数は毎年400冊前後で安定」とか書いてますが増えてるぞ。シリーズものをどかんと買って、そのまま積んだりしてるのが思ったよりも多かったのかも……。

 傾向としては、BOOK☆WALKERはセールが順調に減ってきてます。特に「全出版社対象」のものが少なくなってる。これも電子書籍定着の裏返しかもしれません。ちょっと蔵書数増えてきてシリーズ探すのも手間になってきたので、BOOK☆WALKERさんにはできれば「この巻の前の巻」を読みやすくするUIにしてもらいたいです。前の巻探すのわりと面倒なので。

 特筆すべき点は宝島社がようやく観念して電子書籍を出し始めたことでしょうか。ユーフォニアム、本当に重版待ちの品切れ激しくて機会損失大きかったんじゃないかと思います。

bookwalker.jp

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2010年代のアニメーションを振り返ってみる

 2010年代も終わりということで、10年に1度しかできないから、せっかくなので2010年代のアニメーションを振り返ってみます。

 なんとなく昔から「深夜アニメ」って見てたような気持ちになってるけど、アニメーションの配信が当たり前になったのって、00年代末くらいなんですよね。たとえば、『涼宮ハルヒの憂鬱』(2006)のころはまだまだだった。2011年とかは本数もまだまだ少なくて、この10年でずいぶんと状況も変わったなあと思います。

 では、以下、各年の印象です。

2010年

 リストをじーっと見ても、あまり見てないかなあ。『ハートキャッチプリキュア!』は1年間見てた。ラスト付近大好きです。『けいおん!!』も2010年。これだ! という一作のない年ですが、『Angel Beats!』も含めて、アニメーションと音楽の組み合わせが印象的だったかなあと思います。『けいおん!!』のアルバムを聴きながら、鳴門を歩いた記憶があります。なんか辺境の宿に泊まったのだった。

2011年

 このあたりの年から、見てる本数が増えます。当時の日記にもそう書いてある。『魔法少女まどか☆マギカ』は10話での中断、そこからの1か月がどうしても印象深い。9話がちょうどループの話だったことも、その印象を強くしています。

 『輪るピングドラム』も印象深いですが、やはりP.A.WORKSを意識し始めたという点で、『花咲くいろは』がこの年のアニメーション、という感じがします。ここから始まったぼんぼり祭りが、今もまだ続いてるってすごいな。

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2012年

 2012年は『戦姫絶唱シンフォギア』の始まった年。最初はなんか「ネタ枠」的な受容をされていましたが、それがだんだんと「熱血」文脈で受容されるようになっていったなあ、という思い出。

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 『花咲くいろは』の流れでは、この年は『TARI TARI』。わざわざそのために行ったわけではありませんが、このあと江ノ島にも行きました。というか、後日譚の小説の連載が止まっているのですが、続きはまだですか。
 『アクエリオンEVOL』は評判いまいちでしたが、私は好きでした。岡田麿里脚本はなんやかんや言われますが、わりと私はヒット率高いです。『ココロコネクト』はむしろアニメーション後に読んだ原作の印象が強いですが、いろいろあったけど、いい物語だったと思ってます。

 この年は『氷菓』も。原作から好きだった、ということもありますが、たぶん4周くらいしてます。これからも見るよ。コミカライズがアニメーション範囲以降も描いてくれるみたいなので楽しみ。

2013年

 『言の葉の庭』はこの年らしい。新宿御苑に行ったのが懐かしいです。『ガッチャマンクラウズ』もこの年。特殊な配信形態だったことも思い出します。

 『ROBOTICS;NOTES』、当時の日記見直すと、私、アニメーション(11話まで)→ゲームという順番だったみたいで、そんなこと完全に忘れてました。科学アドベンチャーシリーズはどれも好きだけど、結局、『ROBOTICS;NOTES』の王道展開がもっともツボではありました。続編もゲームもやったので、その感想も残しておきたい。

 この年のアニメーションはなんといっても『凪のあすから』で、前半部はそれなりなのですが、ちょうど2013年年末、このあたりで公開された2クール目のキービジュアルでぐっと心を掴まれました。

 そのあたりの心の変化は当時の日記に残ってます。
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2014年

 このころはまだ日記を残そうとしてたので、記録がわりとありますね。『そにアニ』の7話は、いまでも印象に残る1話。『僕らはみんな河合荘』は終わったあとに一気に見たパターンですが、原作含めて好きになりました。

 『グラスリップ』、そこまでダメだったとは思わないんですが、「止め絵=グラスリップ」みたいに思われているきらいがあり、いや、あれ止め絵じゃなくてハーモニー処理だから……と思いつつ、一挙放送とかも全然ないのでそのあたりの名誉は回復しませんね。しかし、今に至るまで「花火=グラスリップ」になったのは、それなりにすごいなあとは思います。

 同じPAではやはり『SHIROBAKO』の年。Blu-rayをBOXではなく買ったのはこれが初めて。来年の映画も楽しみにしてます。
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2015年

 『ローリング☆ガールズ』は、なぜ発見されなかったのか不思議なアニメ。今ならもう少し受け入れられるんじゃないかなあと思いますが、確かに1話~4話の展開が遅かった、という気はします。今でも展開が続いてるのは制作側の愛ですね。同じく、『Classroom☆Crisis』も面白かったのに埋もれてしまっていて、本数が多くなってきた弊害かもしれません。
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 『心が叫びたがってるんだ。』もこの年。ただ、初回は体調が微妙に悪い中で見てしまって、十二分に鑑賞できてなかったかも。今年(2019年)になって再度はまったのは前々回の日記参照です。

 この年は『響け! ユーフォニアム』の年。最初は抵抗してますが、だんだんはまっていったわけですね。当時の日記では電子書籍にならないかなーって書いてますが、今年ようやくなりました。が、なる直前に紙で全部集めてしまった。間が悪い。
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2016年

 『君の名は。』の年ですね。公開2日目に見た混乱した様子が以下の日記に。本当は初日に見る予定だったんですが、移動中の列車が動かなくなり、2時間ほど閉じ込められて見られなくなったのでした。
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 見たときにも、こんなに多くの人が見る映画になる、とは思ってなくて、なんかそれはいまだに信じられないな、という感覚が少しだけあります。

 『鉄血のオルフェンズ』は、ネタとして消費されるようになってしまったけど、嫌いじゃない(いつものパターン)。『灰と幻想のグリムガル』は丁寧に作られていてよかった。原作は残念なことになりましたが……。『マクロスΔ』、終盤の展開が弱かったとは思うけど、前半ラストのフレイアが飛び降りながら歌うシーンとか、海から浮上するマクロスとかとても良かった。映画新作を楽しみにしてます。

2017年

 この年は、アニメーションを見ることに若干疲れていたのか、記録も残ってない。

 『サクラクエスト』は久しぶりにPAっぽい作品。この辺の作品が減ってしまってることはPAのファンブックでも色々な人たちが気にしてるみたいで、あまり成功体験に囚われてはいけないとは思うけど、この系統も大事にしてほしいなあと思っています。『サクラクエスト』は前半部はちょっと脚本がぎくしゃくしてたというか「お当番回」みたいな単発の話展開になってしまってたのだけど、2クール目で話が有機的に繋がるようになり俄然面白くなります。

 『月がきれい』も作りが丁寧でよかった。エンディングの演出が好きです。

2018年

 同じアニメーションを繰り返して見ることも少なくなり、ああ、こうやって人は感情を鈍らせていくのかな……と思った矢先に年の始めから『ゆるキャン△』と『宇宙よりも遠い場所』にぶん殴られた年。目が覚めました。

 『ゆるキャン△』は1話の冒頭のソロキャンプから心を掴まれましたが、3話の「起きなよ、なでしこ」で、あ、尊いってこういうことなんだと本当にわかって、もうダメでした。ダメだ。

 『宇宙よりも遠い場所』は後半ずっと泣いてた。歌がねー、ずるいんですよねー。実はこないだの一挙、見逃してしまって痛恨の極みです。

 そうやってがつんと殴られているところに『リズと青い鳥』がやってくる恐ろしい2018年。同じ映画を繰り返し見ることはほとんどないのですが、3回見に行ってしまった。振り返ってみるに、「繰り返し見る」ことの楽しさを改めて感じた年だったんじゃないかなと思います。
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 年の後半も『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』『やがて君になる』と良作が目立ちました。

2019年

 で、今年。映画が多くて、『響け! ユーフォニアム 誓いのフィナーレ』『天気の子』『空の青さを知る人よ』と、それぞれBlu-rayが出るのを待ってます。

 一方でテレビアニメーションはおとなしめ。『さらざんまい』『彼方のアストラ』など、好きな作品はありますが、なんども繰り返して見るよ、という感じではありませんでした。その分、過去作を見直したりとか、そういうことをした年だったかな。

 来年はどんな年になるのかな。後半の記録が少ないので、もっと記録していこうと思います(毎年言ってる)

武田綾乃『君と漕ぐ』1~2

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 カヌー(ペア競技がある)、タイトル、武田綾乃、と三つ揃うと、それだけでおおむね了解しました、という気持ちになりますが、その通りの小説でした。既巻は2巻。まだまだ序盤戦という面持ち。

 中心的な登場人物は、秩父、ながとろ高校のカヌー部の4人。そのうち視点人物として設定されているのは、1年生でカヌー初心者の黒部舞奈と、2年生で部長の鶴見希衣。残りの2人は、1年生で才能溢れる湧別恵梨香と、2年生でかつては「天才」だった天神千帆。千帆は今でも希衣より速いけれど、勝利を渇望しなくなってしまった、とそういう人です。

 『響け! ユーフォニアム』でも、ソリになるのは誰と誰、という問題で、久美子3年生編で描かれたことではありますが、今作では吹奏楽という団体ではなく、ペア競技に変わったことで、より「誰と誰がペアになるか」が強い関心事になっており、また、感情もそこでざわつくようになっています。競技人口の少なさもあって、ゆくゆくはオリンピックまでたどり着きそうな物語ですが、それまでの間にペア関係でごたごたしていくんだろうなあ。

 4人の中で私が気になってるのは千帆で、あまり意識してなかったんですが、私、「かつては天才とされていた」人がなんかわりと好きっぽい。千帆は今でもひとりだとそれなりに速いけれど、でも、他の高校の人たちから言及されることは少なく、本人も農園部と兼部していてのんびりしているように見える。従姉妹のまだ小さな海美にこんな(自分に言い聞かせているような)言葉もかける。

「海美ちゃんも、すごくなれるんだよ。これから」
「本当に?」
「うん。でも、もっと大事なことはね、海美ちゃんがたとえすごくならなかったとしても、海美ちゃんには生きている価値があるってこと」

 けれど、彼女はまた、次のようにも思ってしまっている。

「私ね、思っちゃったんだ。海美ちゃんがすごい選手になりませんようにって」

 今は、カヌーをある程度諦めたように振る舞っている彼女がどうなっていくのか──1巻のプロローグが未来を描いているのなら、それは選手としての未来ではなさそうなのだけれど、でも、私はどこかで、彼女に本気を出してもらいたいなあ、とそんなことを思っている。

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『心が叫びたがってるんだ。』

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 11月に『空の青さを知る人よ』を見てから火がついてしまい、11月の半ばは繰り返し繰り返し『心が叫びたがってるんだ。』のミュージカルシーンを見ていた。特に、終盤、成瀬順が母親の隣を「わたしの声 さようなら」と歌いながら抜けていくところ。

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 この成瀬到着あたりは、時間の流れの演出とか、カメラワークとか、練りに練られていて、何度見ても本当にいい。

 関連するインタビューとかも色々読み返してたんだけど、語られるのは、制作がかなり難航したということで、長井監督と岡田さんとの間がかなり険悪になったようだということ。間に立たされてたとおぼしき田中さんは相当に堪えたようで、いろんなインタビューで、『空の青さを知る人よ』では、作画監督に加えて場を成立させる役割をしようとした、ということが語られている。

 岡田さんにしても、改めて自伝*1を読み直してみると、当該箇所の作中の歌詞について次のように書いている。

 順と私の状況は違う。けれど、歌詞の内容が今の自分の気持ちに符合しすぎている。
 長井君との言い争いで気持ちをすり減らし、そのせいで周囲にも迷惑をかけ、このままじゃ作品が座礁すると思い自分の意見を口にするのをやめた。なんとか作品は決定稿になった──。

 けれど、そのあと、岡田さんは作品に「救われた」と書いている。

 それを聴いた順の母親が、涙で瞳を潤ませる。
「ちがう。わたし、そんなこと望んでなんか……」
 その演技が、表情が、空間が。まるで、自分にそう声をかけてもらえたように飛び込んできて、呆然となった。そして、気づけば泣いていた。

 このミュージカルシーンで、成瀬順と母親は直接声を交わすわけではなく、歌とそして一瞬の視線とで通じ合う。この映画、そういう細やかな演技が多くて、二度目三度目で気づくところがすごく多かった。

 で、昨日はコミカライズ版を読んだのですが、冒頭部の成瀬以外の過去エピソードが追加されているところもいいし(特に坂上・仁藤の話は本編の見方に影響する)、ちょこちょこと挟まれている描写がいい。

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3巻より

 そりゃ最後ああいうことになりますよ。

 この作品、埋もれてる、というわけではないけど、話題にされる機会が少ないかな、とも思うので、見てない人がいたら、配信もされてるのでぜひ見てほしいです。

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*1:『学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで』

『空の青さを知る人よ』

 いい映画だった、と思い、けれど、何を言葉にすればいいのかなあ、と思ったまま帰ってきて眠ったら、夢の中で色々言葉が転がってきたけれど、目が覚めたら何も覚えていない。でも、言葉が転がってきた感覚だけはわりとまだ手の中にあって、その手触りはとてもいい。

 気持ちのいい主人公だったと思う。誰が主人公か、というのはこの映画では結構難しいけど、私の中での主人公は相生あおいだ。映画を見ている最中、何度も、ああ、これはいい映画だなあと思っていたのだけど(今回はほとんど泣いてないよ)、その大部分は、この主人公を見ていることが、とにかく面白いということだった。スマートフォンの画面が割れたままにしてるのいいよね。

 特に、序盤から中盤にかけての小学5年生の男の子ツグとの関係性はとても楽しい。ツグの付き合いのよさもよい。苦労するだろうと思う。

 この映画の、主要な登場人物ということになっている4人のうちの2人は年長世代で30代だけど、今の私よりは年下で、そうだよね、まだ全然だよね、と思う。歳を取ったな、と感じることが日々増えて──いや、そんなにまだ増えてなかった。これから増えてくるだろうと思うのだけど、相生あかねが(強がりのように)言っていたように、まだまだ全然なのだった。

 この映画は、リスタートの物語であり、呪いと思っていたものが呪いじゃなかったんだよ、という物語だったと思う。Blu-rayが出たら、見直してまた考えてみたい。