原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』

 アニメーション版が公開されたということで、そういえば昔の日記に感想書いてるのでは? と思って見に行ってみたところ、ありました。2005年3月だって。12年前だと……。

過去の記事

 岩井俊二が93年にフジテレビの番組「ifもしも」の1本として製作したTVドラマにもかかわらず、同年日本映画協会新人賞を受賞した上映時間45分の中編。翌94年、劇場公開。
 港町に繰り広げる小学生の男の子たちが主人公。彼らは打ち上げ花火を横から見たら丸いのか、平べったいのかと言い争いになる。それを確かめるため、花火大会の夜に町はずれの灯台へ行こうと計画する。憧れの美少女、なずなへの淡い思いが重なって彼らの夏休みは過ぎていく。港町の生活感や、子役として活躍をしていた山崎裕太や奥菜恵の生き生きとした演技を引き出している演出力は、岩井俊二が単なる映像派だけではないことを示している。

 AMAZONの評価が異様に高い一作。45分の中編作品ではあるが、時間の短さを感じさせない大きさがある。劇中に散りばめられた「ヴェルディ」とか「マリノス」とか「昇竜拳」とかいった言葉は、90年代前半を思い起こさせてくれる。夏休み前の、あのにおいがする。考えてみれば、もう10年以上の昔。あの時代が、遠い過去になっていることを、しみじみと噛みしめた。

 登場する小学校の男の子たちは、本当に無邪気で、小学生している。見ていてイライラさせられるようなあの振る舞いは、しかし、かつての自分の姿なのかもしれない。同級生である奥菜恵との精神年齢のギャップは、見ていて苦笑してしまうほど。

 劇中には、「ifもしも」の一本であることの影響で、運命の分かれ道が設定されている。どちらかが真実という見方をするのか、それとも両方を真実として見るのかは難しいところ。「下から見るか? 横から見るか?」という題名とも響きあって、できごとの2通りのありかたが描かれている。もちろん、どこから見ても花火は丸いのだけれど(=なずなは転校してしまうのだけど)、その見え方は、やはり随分と違うものだった。

 自分は、リアルタイムでこの映画(というかドラマ)を見ていないのだけれど、あの時代に、この作品はどのように受け入れられたのだろう。そして、これからどのように受け入れられていくのだろう。

 なお、6年後に撮られた「少年たちは花火を横から見たかった」(ASIN:B00005G1GG)があるが、レンタルには見あたらず……。買うのはあんまりだしなあ……。

少年たちは花火を横から見たかった
奥菜恵 山崎裕太 岩井俊二

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そして現在

 大したこと書いてなかった。結局「少年たちは花火を横から見たかった」は見てないんじゃないかな。これ以降、しばらく岩井俊二作品を色々観てたはずです。12歳年下の私は。

 アニメーション版も見にいくつもりです。