原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

行ったことないけど知っている風景

 偽日記の人が『秒速5センチメートル』を見ていた。その末尾で、こんなことを書いていて、すごくわかると思った。

 ところで、短編連作となっているこの作品の第二話は、種子島が舞台だ。『ロボティクス:ノーツ』の登場人物たちが通っていた高校と明らかに同じ高校が舞台であり、そして、同じようにスーパーカブに乗って登下校している。「ロボティクス…」で、あきほが発作を起こして倒れたバイク置き場と同じバイク置き場で、「秒速…」の女の子は男の子の待ち伏せをしている。異なるフィクションが同じ舞台を一部共有しているという、ただそれだけのことなのだけど、何か妙に興奮してしまった。
 (第一話で男の子が「鹿児島に転校する」と言っていて、第二話がはじまって、見たことのあるような風景で、あれ、もしかすると、鹿児島って種子島のことなのか、と気づき、おっ、この高校は…となって、それがだんだん確信に変わってゆき、その過程で盛り上がってくる。)

2016-06-14

 実際のところ、『Robotics;Notes』のゲーム版では、明示されないけど『秒速5センチメートル』への言及がある(自分たちが通っていた学校がアニメーションのモデルになった、という形で)。

 特に『Robotics;Notes』では、ポケコンタブレットみたいな機器が完全に普及してる世界)でたびたび種子島の地図を見ることになるので、次第に種子島の土地勘が生まれてくる。その目で『秒速5センチメートル』を見ると、「ああ、あのあたりかな」ということがわかるようになる。そうすると、種子島には一度も行っていないのに、なんとなくよく知っている場所であるかのように感じてくる。擬似的に、そこに生きたということだ。

 同じことが起こりやすいのは鎌倉だ。最近『ハナヤマタ』を読んでいたのだけれど、次のコマだけで「あっ」って思うわけです。

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 1巻より。

 もうこういう感じの場所は基本的に鎌倉だろうと、ほとんどいったことないのに「見慣れた風景」感が出てくる。鎌倉は、とにかく色々な作品で舞台になるので、それだけその場所についての実感も強い。そういえば、『海街diary』の映画まだ見てなかったから見ないと。

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