原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

仲谷鳰『やがて君になる(2)』

 最近は、作品を読んでごろごろ転げ回る衝動に襲われることも少なくなってきたのですが、久しぶりにこの作品では転げ回っています。なんだこれ。

 なにがツボになってるのかわからないながら、確実に突き刺してくるのは、主人公である侑の表情。笑わないわけではないし、表情がない主人公ではないのですが、フラットな表情になっていることも多く、けれど心の中は色々と波立っている。そして、なんだろう、時々見せる呆れたような顔。

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 2巻、108ページ。

 この巻では、「好き」という言葉に、じっくりと「束縛」の意味が込められていきました。それが七海先輩にかけられた呪いで、侑が知ってしまう障壁。変わりたいと思っている侑と、変わってほしくないと思っている七海先輩の関係はねじれている。七海先輩は自分の気持ちを侑に聞いてもらえるけれど、侑には今のところその気持ちを持っていく場所がなく、このねじれが次巻以降、破綻に至りそうです。

 今後はどうなるのかなあ。三角関係の話になりそうな感じでもありますが、個人的にはそっちはそんなに面白くならないのでは、という気もしていて、けれど、この作品ならそこも面白くなるのかもしれない、と期待もします。楽しみ。
 
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