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原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

十文字青『灰と幻想のグリムガル』

感創文 電子書籍

 既刊分読了。電子化されています。コイン・キャッシュバックで大人買いしました。

bookwalker.jp

 アニメーションを追っていると、「あ、これいつか致命的なネタバレ踏むかも」と思ったので、「ならばバラされるネタをなくしてしまえばいいのである」という勢いで一気に読みました。おもしろかったよ。アニメーションのランタに耐えられている人は読めると思います。以下、まずは3巻までのネタバレを含むので畳みます。また、ある人物がずっと生きてることがわかっちゃいますので、それを知りたくない人は読まないでください。


 この作品、特に第1巻の文章の質の評判が悪く、確かに読みにくい。三人称の限定が強い視点(主人公のハルヒロからほとんど離れないカメラ)を採用しているので、ハルヒロが混乱すると視点もろとも混乱するんですね。また、1巻はわざとかと思うほど会話文だけが続くシーンがあったりで、ちょっとつらいです。ただ、段々となれてきたのか、2巻以降はさほど読みにくさは感じませんでした。

 最初にネガティブなポイントを出し切ってしまいます。パーティの中の冗談っぽい会話があるわけですが、次の数パターンがとにかく繰り返し繰り返し出てきます。

 1 ランタが意味不明に誇大妄想を振りまく
 2 ランタがユメを胸のことでからかう
 3 ランタがシホルを胸のことでからかう
 4 ランタがあぶなっかしいことをする

 ランタばっかりじゃないか……というか、ランタ2巻で死にかけますけど、この話、ランタがいないとものすごく地味になりそうではありますよね。かといって、ランタが好きになるかというとまったくそんなことはなくてすごい。あと、

 5 言葉を間違って憶えてたり聞き取ったりする

もたくさん。おおむねユメですが、他のキャラクターでも起こります。数回ならいいんですけど、これ何度もくるとちょっとしつこい。

 ネガティブな要素はこんな感じかな……。ランタに耐えられれば読める作品ではあります。なお、ランタの性格はほぼ改善されません。あのままです。

 では、以下簡単に各巻の感想。ここからは3巻以降のネタバレもあります。

1巻

 マナトさんが半分くらいのところで退場する巻。アニメーションの前半で描かれてきた物語ですね。
 物語展開はアニメーションの方が丁寧なので、いっそのこと1巻は飛ばしてもいいかもしれません。

2巻

 コボルト巻。ゴブリンよりコボルトが強い世界です。
 ラストが戦闘につぐ戦闘につぐ戦闘で絶望感あり。最後の勝ち方はどうなんかな。

3巻

 戦争巻。こういう当たり所が悪いと即死する物語における「矢」ってこわいですよね……。
 新キャラのチョコ(表紙の人)が即座に退場して絶句しました。描写もそんなになくてねー……それが逆に辛くてねー……。
 この世界で死んだ人がどうなっちゃってるのかはわからないんですが、元の世界に戻ってくれていてもいいんですよ、と思いました(たぶんそんなことはない)。
 そして、ラスト。衝撃の引き。

4巻

 冒頭で、前巻の引きでモグゾーさんが死亡。「あ、生きてたんだ」と勘違いさせて地獄に突き落とす冒頭えげつない。思えば色々フラグは立ってたんですが、なんかまあ大丈夫じゃない? と油断してたので(チョコが死んだからというのもある)ショック。

 そして、モブからパーティメンバーに昇格したクザクくんとメリイさんのフラグも発生し、以後やきもきすることに。

 この巻、後半ずっと戦闘してた気がするんですが、さすがに長過ぎじゃないかなと思いました。敵がね。もうね。強いよね。結構みんな死にかけてますが(死にかけないのはメリィさんくらい?)、さりげなく全巻通して一番死にかけてるのはユメのような気がします。

5巻

 チームトキムネことトッキーズ回。死んでも死にそうにない面々。

 このあたりから「え、そういう話になっていくの?」感があるんですが、グリムガルから離れて異世界に移動します。とはいえ、現実世界に帰還するわけではなく、別のファンタジー世界に移動する。神様の加護が届いてないので神官の魔法が使えない、というのはTRPGではよくある展開ですが、あっけなく死ぬグリムガルワールドだとかなり怖い。

 異世界の敵が結構強い服を着てるんですが、それ奪えないのかなってずっと思ってました。武器は奪ってるからいけるんじゃないかな。

6巻

 まだ異世界編。あ、まだクザクくんとメリイさんのフラグは継続中です。グリムガル、人間関係にほとんど進展がない(地味に地味に変わっていく感じ)。英雄たちが出てきますが、英雄たちにもどうにもならないことはある。そして最後にさらに別の異世界へ。

 ララ&ノノ、っていうキャラクターが最初は名前だけ出てくるんですが、ホビットとかグラスランナーみたいなのを想像してましたよ。それが、あんな。

7巻

 2番目の異世界編。そもそもグリムガルからして異世界だったのに、そのグリムガルに帰りたい気持ちがキャラクターにも読者にもそろそろ生じてきます。あんな世界だけどいい世界だった。

 わりとたくましく生きていくエピソードは面白いのですが、やっとクザクくんとメリイさんのフラグが(半分程度)折れ、ハルヒロさんよかったね、よかったね……! という気持ちに。シリーズ全体通してですが、「向いていない」と思いつつ仲間のためのリーダーをやっているハルヒロがどんどん不憫になり、「報われてほしい……報われてほしい……」という親のような心境になっていきます。この巻はわりとハルヒロ無双してますが、自己評価は超低い。

 途中、スマートフォンらしきもの、などが出てきますが、ハルヒロたちは認識できず。そして最後、死にかけながらグリムガルに帰還。最後のあたり、ハルヒロ死にかけたのってランタのせいですよね?

 というところで、既刊分が終わり。4巻以降仲間が死んでませんが、まあ油断はできないよね……。最近成長してしまってる気がするシホルさんは大丈夫でしょうか。あぶなくないでしょうか。

 以下感想リンク用。

灰と幻想のグリムガル level.4 導き導かれし者たち (オーバーラップ文庫)

灰と幻想のグリムガル level.4 導き導かれし者たち (オーバーラップ文庫)

灰と幻想のグリムガル level.7 彼方の虹 (オーバーラップ文庫)

灰と幻想のグリムガル level.7 彼方の虹 (オーバーラップ文庫)

灰と幻想のグリムガル level.8 そして僕らは明日を待つ (オーバーラップ文庫)

灰と幻想のグリムガル level.8 そして僕らは明日を待つ (オーバーラップ文庫)