後半戦。
今井哲也『アリスと蔵六』
権利関係であれこれあったのか、1巻しか電子版が出ていませんでしたが、無事リリース再開。これまで配信されていなかったBOOK☆WALKERでも配信されるようになりました。「トランプ」と呼ばれる不思議な力を持つアリスを中心に話が展開していきます。1巻から2巻の展開、もっと引っ張るかと思ったけど、2巻でさくっと終わってびっくりした。現在配信されている4巻では世界がだんだんと変わりつつあり、どう終着するのか楽しみ。
渡会けいじ『弁天ロックゆう』
前作があからさまに打ち切られてからの新シリーズ。『O/A』と同じ女性同士のバディものに回帰しています。相手を庇護することによる自尊心の維持と、その庇護から相手が巣立つことへの不安、葛藤──そういう感情のあれこれ。
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志倉千代丸『Occultic;Nine』
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タイトルからすると、Steins;GateやROBOTICS;NOTES*1と同じ科学アドベンチャーシリーズの世界観を共有しているっぽい感じですが、今のところ世界観のつながりを示唆するところはありません*2。すでにゲーム化発表済。
今作の舞台は吉祥寺。まとめサイトの管理人を主人公に、色々な人物の視点を渡り歩く群像劇。ふんいきがちょっと『15×24』に似てるかな。2巻ラストで結構などんでん返しがあって「続く!」状態なのですが、3巻が出る気配がありません。大丈夫か。ちゃんと完結するのか。しない気がする。
アンディ・ウィアー『火星の人』
変形書簡体小説。ところどころ3人称視点が入ります。火星に取り残されてしまった宇宙飛行士と、彼を救おうとする人たちの物語。宇宙飛行士のパートは、すべて「ログ」に残していく記述になっているため、リアルタイムのものではないところがポイント。次から次に起こるトラブルに、軽妙に(しかしわりとハラハラする)対応していく彼を見守っている気分になります。空気と水ってすばらしい。
『アルドノア・ゼロ』から、一挙放送で見直した『機動戦艦ナデシコ』、『Classroom Crisis』に『鉄血のオルフェンズ』と、何かと火星ものが多い2015年でした。
長嶋有『愛のようだ』
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ドライブ小説。すべての出来事は車の中で起こる(大したことは起こらないけれど)。
長嶋さんが(今後のことを考えて)免許を取ったことがあからさまに反映されているわけですが、「車を運転する」ことが普通になると忘れてしまうあれやこれやが描かれていて楽しい。長嶋さんの男性一人称は久しぶりに読んだかもしれない。『祝福』にはあったかな。どうだったかな。
男性だからといって、同じようなことを考えているかといえば別にそうでもなく、個人的にはこの視点になっている男性と親しめるかというと親しめそうにないけれど、彼の認識の手触りのようなものを感じることは、特に悪いというわけでもない。
冒頭のところでは、教習所に関していくつかのことが書いてあるのですが、確かに今後の経営って大変そうだなあ、と他人事として思いました。
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シリーズものも色々と読んでますが、とりあえずこんなところ。2016年はもう少し小説読みたい。