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原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

ブギーポップを読み直す(8)

感創文

ブギーポップ・アンバランス ホーリィ&ゴースト』

 珍しく、合成人間でなければMPLS(擬態者)でもない、ただの人間が主人公の話。統和機構の名も知らず、事態に巻き込まれている濱田聖子と結城玲治の臨時ユニット〝ホーリィ&ゴースト〟の物語。時間軸は最新に戻り、『ペパーミントの魔術師』以後のお話です(『エンブリオ』は『ペパーミント』の最終局面よりは前の時間軸みたい)。

 結城の友人として回想で『パンドラ』の海影香純が再登場。彼、確か生存してたような気がするのですがどうしてるのかなあ。そういえば凪の小学校のときの同級生という微妙な設定がありました。

 主人公2人は謎の包帯イタチ〝スリム・シェイプ〟に導かれながら(指示されながら)、“だいたいこの人のせい”の寺月さんの危険な遺産を巡る仕事を行っていきます。〝スリム・シェイプ〟、いいキャラクターだったからもうちょっと見たかったなあ。彼については、完全な情報が示されませんが、凪と同じような症状だったのかもしれません。でも、いちおうこれもただの人間、という意味では、この巻は本当に珍しく、敵役のドクターや宇治木を含めて、ただの人間たちのお話です。凪との会談の中で語られている“ブレイン・ダメージ事件”はまたどこかで語られているのかも。

 気になるのは、凪についてのこういう話。

 ボクにはわかるよ、炎の魔女──君だってボクと同じなのさ。君が数年前に罹っていて、そして自然治癒してしまった、発作的に全身に異様な激痛が走って内臓器官にパニック症状が出る謎の奇病──もう今となっては原因も何もかも不明だが、君だけはわかっている──それが本当は治っていないということが。

 これもそのうちそういう事件が起こるのかもしれません。このあたりまでしかシリーズは読んでいないので、そろそろこの先何が起こるのか知らない領域に入りつつあります。

 他の登場人物としては、武装組織〈アフターマス〉の人々。ただし、これは「ドクター」を除いて名前のあるキャラクターはなし。そして、〈アフターマス〉を一度壊滅させた〝リセット〟こと雨宮世津子。彼女の能力、〝モービー・ディック〟はこの物語では詳細不明。途中、「ピート・ビート」の名前が出てくるので、その能力は『ビートのディシプリン SIDE1』の方で使われることになりそうです。メモしながら読んでるので混乱しませんが、登場人物がそろそろ錯綜し始め、誰と誰がどうつながってるのかわかりにくくなってきました(楽しいけど)。

 ロードムービーめいた物語は、やや異色。この巻だけ読んでも、(ブギーポップって誰なんだよ)ということを除いては楽しめるのではないでしょうか。もともとブギーポップは装置みたいなものでもありますし。