原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

三部けい『僕だけがいない街』5巻

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 読み進めていくうちに、「あ」「いかん」「これは……」となって、最後に「やっぱりかよ!」ってなる展開でした。でもそっちが狙われるとは思ってなかった。手のひらの上でころころされてる感じ。以下、たたみます。


 4巻読んだときに「先生は犯人じゃなかったのかー」と迂闊に思ってしまったわけですが、(まだわかんないけど)ほぼ犯人確定なのかな。この5巻でじわじわと先生の「ズレ」た感じを出していきつつ、しかし、主人公の悟が警戒心を持たない、という不安。車のダッシュボードから大量の飴が出てきたときも、「これは……いや、これもミスリードを誘うための仕掛けかも……」と疑心暗鬼になりました。サスペンス向いてない。

 犯人よりも気になるのは、2006年現在には戻れるのかなあ、ということで、途中「「あの2006年」はもう無い」という表現があり、そこにはアイリの姿が描かれています。冒頭にも、主人公を認識しないアイリの姿が、夢の表現として描かれている。

 冷静に読み直してみると、再上映(リバイバル)って、再上映が終わった瞬間に現在の時間軸に時間が飛ぶ、というものじゃなくて、再上映で救出に成功したら、そのまま時間が続くんですよね。今の1988年が再上映だとすれば、そこで事件が解決すれば、そのまま時間は続いていくことになるのかなあ。

 ただ、そうすると一度失敗したときに2006年に戻ってるのは変なんですよね。再上映は、失敗したら最初にもう一度巻き戻しなので、本当は2006年に戻るはずがない。

 再上映ってそもそも何なのかしら、みたいなところ含めて(それがタイトルに着地するのか?)、続きが楽しみです。