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ことぶきつかさ、という人の名前は昔からよく聞いていたけれど、実際に読んだことはありませんでした(なんとなくの食わず嫌い)。電子書籍になったので、ようやく購入。おもしろかったです。
劇場版のZガンダムを背景としながら、カイ・シデンがどのような動きをしていたのかを、毎回のゲストとの関わりを通して描いていきます。その点では連作短編のようではありますが、後半では、ティターンズに対して、カイがどのようなアクションを起こしていくかがストーリーをもって描かれていきます。
この単行本ではエピソードの間に担当者と作者との座談が載せられていて、その中で「テレビ版」と「劇場版」との違いがよく言及されています。そういえばそういう違いがあったかなあ、ぐらいしか劇場版のことを覚えていないのですが、このキャラクターは出てこなかった、とかダカールの演説が、とか、そういうのも面白い。
私はアニメーションのZガンダムでは、結局ティターンズって何がしたいの、っていうのがよくわからなかったのですが、このマンガの中ではそこに肉薄していく部分があります(はっきりとは書かれていないけど)
(1巻)
このあたり、この間小説版を読んでたときに「そういえばこういう記述もあったなあ」と思った、この部分に関連しているのでしょう。
大体、ジオン・ダイクンの意思を受ける体制を引き継がざるを得なかったギレンでは、元々敗北を喫する要因を抱えているに等しかったとジャミトフは見ていた。
「頑冥な人々は、地球上で掃討し、無知無能な者は、コロニー開発に追いあげる。それが、地球上から人間を排除する方法なのだ。今となれば、地球に残りたがるエリート意識に凝り固まった選民は、危機に陥った地球に残して、飢えさせれば良いのだ。が、そんな手段を講じているうちに地球が疲弊しすぎるという危機感があるからこそ、軍を組織して地球経済に打撃を与え、ついでに地球上の選民を抹殺する……」
それがジャミトフの予定である。その理論の一面は正しい。しかし、物理的な手段を講じてしまうところに、ジャミトフの倣岸さがあった。が、それもジャミトフ自身が認めているところなのだ。
「歳だ。いつ死んでもよい。私の死ぬまでに、地球圏に対して必須のことをやってみせる」
そのために、ジャミトフは、一年戦争の終息と同時に、自身の血の類縁の全てと訣別をして、ティターンズの組織作りに入ったのである。
あとよかったのは、ベルトーチカがほぼ主役のエピソード。
(2巻)
ごめんなさいって気分になります。台詞回しも工夫されていて、MS戦はないけれど、しっかりガンダム作品だと思いました。
電子書籍(マンガ)としての読みやすさ |
総合評価:B(9インチ以上推奨) |
見開き頻度:ときどき |
字の大きさ:見開きでは小さめ |