原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

野崎まど『小説家の作り方』

小説家の作り方 (メディアワークス文庫)

小説家の作り方 (メディアワークス文庫)

 BOOK WALKERでメディアワークス文庫野崎まどの本が配信されはじめました。おいおいKindleなど、他の電子書籍ストアでも配信されるのではないかと思います。

 野崎まどについては、メディアワークス文庫の第一作である『[映]アムリタ』しか読んでなくて、その感想は4年前に以下のように書いていました。え。もう4年なの。

野崎まど『[映]アムリタ』 - 原子メールの届いた夜に

 この本、たしか東京に出張してるときに国会図書館の近くで読んだような……とか、そんな記憶がおぼろげに浮かびあがります。「ぜひ、作者の次回作を読んでみたいと思いました」とか言ってるわりに4年もほっとくってどういうことなの。

 『小説家の作り方』は、実は何年か前に買ってはいたのですがずーっと積ん読してて、今回、他の作品を電子書籍で一気買いしたのでよし読むか! と思って読んでみました。おもしろかった。

 『[映]アムリタ』は映画を作る話でしたが、『小説家の作り方』は小説を書く話……というよりは、小説を書くためのレッスンの話でした。視点人物である主人公は駆け出しの小説家で、まだ小説を書いたことのない大学生に小説の書き方を教えることになります。

 『[映]アムリタ』も映画作成自体の描写が薄かった(みたい)ですが、こちらの『小説家の作り方』も、小説を書く過程自体は薄め。いちおうプロット、とか、モチーフ、とかそういった用語が出てきてはいますが、内実ははっきりと書かれるわけではないので、そちらを期待すると肩すかしになりそう。作内で小説を書いている過程をしっかり書いているものってあまり知らないのですが、三浦しをんの『ロマンス小説の七日間』は(本当は翻訳だけど)小説を書いていく様子が描かれていておもしろかったです。

 この『小説家の作り方』では、小説の内容そのものよりも、レクチャーする相手である大学生の紫依代さんをめぐる謎を中心に話が展開する感じ。それほど長くないのでさっくり読めます。
 改めて野崎まどを読んで思ったのは、そこまですごく飛び抜けておもしろいわけではないのだけど、文章がすごく丁寧だなあ、ということでした。『[映]アムリタ』では私は西尾維新の気配を感じているようですが、今作では森見登美彦の気配を感じます。けど次のところは西尾維新をパロディしてる感じ。

「小説のキャラみたいな連中だ……」
「派手だろう。その七人だけがIDの代わりに固定のハンドルを名乗る事を許されているんだ。というか勝手に名乗っている。【answer answer,答えをもつ者】【beaver eater,カワウソ喰い】【copper water,赤い水】……(略)」

 西尾維新的な(戯言シリーズ的な?)名づけをあえてデッドコピーにしている描写。後半、これらのあだ名関係でむにゃむにゃあります。

 ひとまず残りは電子書籍で一気に買ったので(無計画に)、この年末年始にどんどん読んでいく予定です。これらのメディアワークス文庫のシリーズは、「基本的に」一冊完結で読みやすいのがいいですね。それが『2』で云々、らしいのでそれを楽しみにしています。

舞面真面とお面の女 (メディアワークス文庫)

舞面真面とお面の女 (メディアワークス文庫)

2 (メディアワークス文庫)

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