原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

『ココロコネクト キズランダム/カコランダム/ミチランダム』

 この休みで3冊。電子書籍どんどん買えちゃうのでおそろしい。文庫版に比べると安価になっているので買いやすいです。

 『ヒトランダム』のときに確認していた視点人物(『ヒトランダム』では太一)が、シリーズが進むごとに変化するようになってきています(庵田定夏『ココロコネクト ヒトランダム』 - 原子メールの届いた夜に)。『キズランダム』では稲葉姫子視点が出てきて、以降どんどん増えていく感じ。視点によって地の文での人の呼称が変わるのですが、太一は誰になっても太一だし、青木は誰になっても青木だし、稲葉は誰になっても稲葉です。

 特に『ミチランダム』は、それぞれの章に各視点人物が配置され、いよいよ群像劇めいてきました。これまで敵役にあたる〈ふうせんかずら〉との一対一での対峙は太一と稲葉にしか起こっていませんでしたが、『ミチランダム』では、青木・桐山・永瀬にも一対一で〈ふうせんかずら〉と対峙するシーンが出てきます。これも、太一視点から外れることができるようになったためですね。

 呼称の変化が地の文において起こることもあって、『カコランダム』では桐山唯→三橋千夏の呼び方が変化しています。

 ……それにしてもなんて不器用な子供達なんだ。
 三橋も、自分も。

 ……って、あれ? 今、三……千夏と被った?

 『ミチランダム』では、永瀬伊織→瀬戸内薫が。

 自分と瀬戸……薫は、友達になった。

 まだメインの登場人物同士では変化がありませんが*1、これからあるのかなあ。どうなのかなあ。

 あと、『ミチランダム』は道がランダムに変わって迷っちゃうよ! っていう話かと思ってました。全然ちがった。

*1:『ミチランダム』では、地の文ではなくて会話文の中で、永瀬が稲葉のことを「なんで稲葉に全てを伝えなきゃいけないの」と言って、稲葉が衝撃を受けるシーンがあります。永瀬はこれまで会話文の中ではずっと「稲葉ん」と呼んでいました。地の文では「稲葉」だけど。