『怪獣が出る金曜日』
『怪獣が出る金曜日』の雰囲気は、オープニングを見るとすぐにわかると思います。
【怪獣が出る金曜日】オープニングムービー - YouTube
わりと牧歌的な世界。「ぼくのなつやすみ」シリーズのゲームデザイナーの方が中心になって作成されたようです。「ぼくのなつやすみ」、おもしろそうだけど結構時間かかりそうだなーと思ってた人にはいいかも。掌編なので、2〜3時間くらいで終わります。一本分の映画をみたような感じで、短時間ではありますが、主人公たちが過ごしている町がちょっと好きになる。そんな感じのゲームです。
いくつかレビューを読んでみたのですが、確かに事前には「1日の物語」とは想像していませんでした。
転校してきたばかりの主人公に新しい友達が出来て、町を案内してもらって、
カード勝負して、呪文ごっこも覚えて、商店街の人たちとの交流もあって、
同じ日に転校してきたクラスで6番目の飛び切りの美人とも仲良くなって、
街にやってきたナゾの人物とのやり取りがあって、ついに怪獣が出現して……。
って話を全部1日でやろうとしてる!そりゃ駆け足にもなるわ。この構成は「毎週金曜日に怪獣が出る」ってコンセプトを台無しにもしちゃってるね。
絶対SIMPLE主義 3DSDLソフト「怪獣が出る金曜日」レビュー!もっと見せ方を考えて欲しかった
金曜日に怪獣が出るなら直後の土曜日にもドラマがあるし、
怪獣が出る直前の木曜日にもドラマがある。
怪獣が出るのにまだ少し日にちのある月曜日辺りにだってドラマがあるはず。
「月火水木金土日」のすべての曜日に違ったワクワクが生まれるはずで、
このすべての曜日を大事にしてこそ「毎週金曜日に怪獣が出る」って設定が生きるんじゃないか!
それを一切描かず、いきなり金曜日当日から始まって
その日だけで完結するんじゃ片手落ちもいいとこだぜ。
このレビューはまあそうかな、とも思うし、金曜日にいたるまでの町の人たちの過ごし方も見てみたいなあと思うのだけど、これをすると結構ヘビーなゲームにはなりそうで、すーっと体験するようなこのゲームの感じとはまた変わってくるかもしれません。でも、レビューで書かれているようなゲームもやりたい。「ぼくのなつやすみ」はそんな感じなんでしょうか。でもなつやすみじゃなくていいんだよなあ……(あとコレクションしたりするの苦手)。
ゲーム中は1枚絵の中を駆け抜けていくことになりますが、しっかりしているのが、Aエリアの1枚絵にいるときにも、Bエリアの様子が見えているということです。つまり、Bエリアに3人の登場人物がいたら、ちゃんとAエリアの1枚絵からも見える。どういう処理なのかわかりませんが、「あ、あそこに3人集まってる!」ってわかりやすいのでよかったです(下に町の全体図が表示されていて、どこに誰がいるかはわかるのですが)。
あと、最初は町のどことどこがつながってるのかわからないんだけど、次第に「この路地はあそこに出る」とか「こっちにいくと逆に遠回りだ」とかがわかってくるのが迷宮感あっていいです。歩き回るのが徒労にならないように、怪獣カードの元が道ばたに落ちてるのもいい。
怪獣カードはそれを使って登場人物たちと怪獣カード合戦をするためのものです。各怪獣には、ぐーちょきぱーが設定されていて、5枚を選んで場に出します。ようするに5回ジャンケン。出したあとにヒントを元に2枚だけ交換できて、「こいつが負けてるってことは相手はちょきだから……。でも交換したあとにさらに交換されるかもしれないからあいこねらいで……」とか、結構頭を使います。でもあれって本当は1対1だとできないよね。ヒント出す人がいないと。
合戦で勝つと相手を子分にできて、呪文を書けて倒せるようになります。呪文のかけ声など、ほとんどの音声はオープニング冒頭のおねえさんの声。独特の読み上げ方をしてくれるのでそれもおもしろかったです。