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原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

高校生のころの記憶

 記憶はだんだん遠くなっていって、やがて薄れていくものだけれど(しかしその中で残る強固なものもあるのだけど)、高校のころのそれと大人になってからのそれとでは、記憶の具合が違うようにも思う。

 5年以上前に住んでいた町の、ショッピングモールとはいかないまでも大型のスーパーの二階の間取りとか、住んでいた部屋のトイレの感じとかは、今でもありありと思い浮かべることができて、その記憶は実際にそこに住んでいたときの記憶とそれほど変わっていない(と思う)。

 それに比べると、高校のころに毎日通った駅の感じはすっかり薄れていて……と書いていたら思い出してしまった。2つある改札口。一方は、朝の7時くらいのタイミングでは、まだ片方が空いていなくて、少し遠い出口から出なければならない(私は朝早く学校にいって勉強する、という学生で──いや、それは夜通しオールナイトニッポンを5時まで聴く生活をしてからだし、そもそも通学ラッシュが嫌で嫌でたまらなかったのでそれを回避したかったからなのだが)。

 代わりに夕方は、もう一方の出口から入ることができる。そちらの出口は駅ビル的なところを抜ける出口で、ゲーム屋さんとかお菓子やさんとかがあった。ただし、道を間違えると簡単に喝上げをされる修羅の町だったので(いきなり背中に跳び蹴りとかくらったことがある)、特に夕方は1人の場合、大通りを通らなければ非常にあぶなかった。今思えば、なんなんだあの町は。

 駅の近くの角には、確かパンやさんがあったのだが、その前はサーティーワンアイスクリームだった……と書いたが、サーティーワンだったことは確かなのだけど、パンやさんになったかは定かでない。よしもとばななの『アムリタ』で、主人公がパンやさんで働くことがあるのだが、私はそのパンやさんをそのサーティーワンがあった場所に重ねてしまっているようで、本当にパンやさんがあったというわけではないのかもしれない。

 駅の建物の中には本屋さんがあって、そこでさっきいったよしもとばななを買ったし、『ザ・スニーカー』で「新ロードス島戦記」のプロローグを読んだ。棚の場所まで思い出した。当時は幻冬舎文庫が出来たばっかりのころで、あの緑色の背表紙は目立っていた。

 その町には古本屋が一軒あって、その古本屋の奥でルナルサーガを見つけたし……とか、いくらでも思い出せるじゃないか。どこが薄れているんだ。

 思うに、記憶はトリガーがあればある程度は戻ってくるということで、久しぶりにあの町を歩いてみたいなあという気持ちになりました。鳩がたくさんいた大きな木は健在なのだろうか。