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原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

.hackのこと

感創文 ゲーム

 .hackの映画が無料でストリーミング放送されていたのでみました。CMしてたころは「これは……ダメなんじゃないか……」と思っていたけど、けっこうおもしろかった。みんなで力を合わせる(しかし大して伏線なし)だけで泣けてしまうのはもうパブロフの犬でしかないのだけど、たぶんそういう事象に過剰に物語を読み込んでしまうがゆえの反応なんだろうなー。

 最初のゲームから、もう十年経っていることにおどろくのだけど、.hackというシリーズについては、特に初期シリーズを中心に結構遊んだり読んだりした。いわゆるMMOと呼ばれるネットゲームについては、ついに手を出すことがなく、そして、どうもこれ以降もなかなかできそうにないのだが(時間がかなり必要なので)、しかし、あこがれのようなものを抱き続けてもいる。

 .hackというシリーズがおもしろかったのは、それが「ネットゲームを遊ぶ状況」をゲームにしている、というメタ性にある。以降、同様のコンセプトのゲームがあったのかどうか寡聞にして知らないのだけど、疑似的にネットゲームを遊ぶという体験は、ネットゲームそれ自体を遊ぶ感覚とは(おそらく)全然ちがっている。そこでは通常のゲームでは起こりえないことが起こり、そこに主人公たちが関わっていくという構成がある。

 以前、『ログ・ホライゾン』の感想を書いたときにも同じことをいったような気がするのだけど、ネットゲームを主題とするゲームや小説、マンガではほぼ例外なくクライシスが描かれている。そして、多くにおいてそれは「帰還できない」というカタチで描かれることが多いのではないか。

 基本的にログアウトしてしまえばそれまでのネットゲームにおいて、本当の危機を描こうとすれば、必然的にその世界に捕らわれるという展開になるのだろうけれども、これまた前に書いたように、そういったクライシスではない形での「ネットゲームについて」のフィクションというのは存在しにくいのだろうか。

 すでに存在していて、私が知らないだけという可能性はかなり高いのだけど、「体験記」という形ではない、ネットゲームを主題とするクライシスのない物語があるならば、読んでみたいと思っている。