原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

村上かつら『淀川ベルトコンベア・ガール(1)』

村上かつらさんの漫画は初めて読んだけどおもしろかった。十六歳の主人公が工場で働きながらままならないようなままなるような、いろんなできごとに出会っていくお話。
あとがきに書いてあることが印象的で、原型になっている漫画の描かれた2003年の時点では説得力のなかった「住み込みで正社員としてはたらく十六歳の少女」という設定が、2010年の時点では「結構待遇のいい会社だよね」という話になっていた、ということだった。たった七年。
この巻の一番最後のところでは、それまで客体として書かれていた登場人物の視点にカメラが移っていくのだけど、そこで描かれている高校生活の、悪意のあるような、けれど、悪意のないような「友達」の存在感もおもしろかった。この後の展開については、予想がついてしまいそうな気もするし、それを裏切ってほしいような気持ちもあります。次の巻が楽しみ。