原子メールの届いた夜に

空き瓶に石ころをためていくような日記です。

衿沢世衣子『ちづかマップ』

 実際の場所を“ちづか”がめぐる、地図マンガです。楽しかった。タイトルから受ける印象ほど“地図”に焦点を当てたものではありませんが、実際の土地をめぐっていく感覚がとてもおもしろかったです。……と、考えたところで、「あれ、このマンガに出てくるとこ、ひょっとしてGoogleストリートビューでみられるんじゃ……」と思ったらやっぱりみられた!

 64ページのフィンランド大使館です。こんなのが簡単にみられるってすごい! と思うけど、一方でこのマンガは、“その場にいかなければわからないことがある”というマンガでもあったような気がしていて、地図と実際の場所とがクロスする、その瞬間の楽しさ、のようなものも描かれているように思いました。
 インパクトがあったのは「書道博物館」の「龍眠帖」で、それまで退屈していたちづかがその書にぐーっと引き込まれていくんですが、それと同時に読者も引き込まれていくような気持ちになります。「龍眠帖」の複製、私も買いたい。
 私は絵については感性が閉じているようで、美術館などでもほとんどなにも感じないていたらくなんですが、どうも“線状”のものにはときおり感情が動くことがあるようで、以前も線で構成されていた山本加奈子さん(http://www.kanako-yamamoto.net/)の絵におおっと思ったことがあったのでした。自分自身が何を好むかって、わりと客観的に捉えるのって難しくて、それは絵にしても音楽にしても小説にしてもそうなのかなーって思います。